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2026.01.13Vol.718 ペース配分

 子供の頃よく風邪を引いていた、きっと。学校に行きたくなかったり習い事をさぼりたかったりしたときに、よく微熱を出していた。「気病」と書いて「けびょう」と読む、といった感じであろうか。そもそも、私は日頃から体温が37度前後だったので、食後であれば37度を超えることは普通にあった。朝食後にすぐに測った体温が期待を下回ったときには、水銀体温計の先を擦り、上がりすぎれば振って37度5分弱ぐらいにして、少ししんどそうな顔をすれば、病人の一丁出来上がりであった。そんな状況だったので、正確には実際どれぐらい風邪を引いていたのか自分自身でも把握できていない。そんな私ではあったのだが、本気になれなかった中学受験はさておき、高校、大学受験の年に体調を崩すことは無かった。大事なときにコンディションを整えられないようでは話にならない、と当時考えていて、それは今も変わらない。高校の東大卒の物理の先生が、センター試験当日にインフルエンザに罹り、2日間とも40度ぐらいの高熱で臨んだが、それでも9割5分ぐらいは取った、という武勇伝を我々生徒に向かって語っていた。結果を残せばそれはそれで問題は無い。そのときは「1日や2日ぐらいであれば、どれだけ体調が悪くても人間集中できるもんなんだな」という感想を持っただけだったのだが、特にコロナを経験した今では、周りにうつすかもしれない状態で行くのは非常識だ、となる。きっと、私に限らず周りにいた同級生たちもそんなことを考えもしなかったのだろう。
 志高塾を始めて以来、今回で19回目の受験を迎えているわけだが、当然のことながら風邪など引いたことは無い。注射が嫌いなので打たないし、マスクをするわけでも、こまめに手を洗うわけでもない。気合と、とにかくよく寝ることだけを心掛けている。毎年、冬休みに入ってから受験前日までは、朝から授業をして夕方前後に仕事を終えて帰宅、ご飯を食べたら20時過ぎぐらいにはベッドに入って、6時前に起きるという、ほぼ仕事と寝るだけの生活をしている。私は1か月弱なのでどうにかやり切ることができるが、大谷翔平は常にそれを実践しているのだ。その大谷翔平が「睡眠は質よりも量」とどこかで話していたが、本当にその通りだと思う。途中、2度3度と目を覚ますが、それだけ長時間寝ると、6時に設定した目覚ましよりも前に自然と目が覚め、頭も心も完全に回復して、「さっ、今日もやるぞ」と気力がみなぎった状態になっている。いつもより立っている時間が長い分さすがに体は疲れているので、寝る前と起きてからのストレッチは欠かせない。
 中学受験生の中で特に2人が、算数の過去問演習で、空欄が少なくないことが多く、テスト後に彼らに「なんでや?」と理由を尋ねると、「時間配分を間違えました」と決まって返ってくる。そのようなときは、実力より1から2割ぐらい下振れした点数になっている。それなりに埋まっているときは、途中で詰まらずにたまたま最後まで行けたときなのだ。いずれの生徒も、それは3から5回に1回ぐらいしかない。彼らの解いている際の様子を見ていると、ふわっと解き始めて、残り10分ぐらいになって決まって焦りだす。背中がそれを物語っている。本来は逆である。脇目も振らずにスタートダッシュをして、最後の10分で少し冷静になり、取れる問題を取り切れるようにするべきなのだ。それゆえ、「スタートと共にガーっと入らなアカンねん」と国語を教えている先生とは思えないような声掛けをしている。もう少しきちんと説明すれば、「長距離走ではなく、短距離走のように呼吸をしない勢いで」となる。彼らの志望校は異なるが、いずれも6割前後が合格ラインなので少し余裕を持って6割5分から7割が一つの得点の目安になる。残り10分の時点で5割5分ぐらいまで持って行って、残りの時間で答えを出せていない問題の中から解けそうなものを見極めて1割程度積み増す、というのが一つの形である。もちろん、問題が難しくて合格ラインが5割に下がることがあれば、反対に7割になることもある。そういうときの対処の仕方や、「難しそうに見えて簡単」やその逆に「簡単そうに見えて難しい」問題の見極め方などを解き直しの際に教えている。いろいろなことをその都度具体的に伝えてはいるが、ここではテーマとずれるのでこれぐらいにしておく。
 我が子が通っていた小学校は毎年冬にマラソン大会があり、コースは学校の周りを2周するというものであった。3人には、とにかく体力を温存するな、と伝えていたので、1周目に苦しそうな顔をしながら帰って来るのを確認して、「よしっ」となっていた。私はグランドから見ていたのだが、グラウンドだけではなく外周を走っている姿もフェンス越しに眺めることができた。ちょうど後半の半周ぐらいが体育館や校舎で見えなかったので、2周目の最後、どのような順番でグラウンドに帰って来るのかを楽しみにしながら待っていた。1周目より順位を落としているのを見て、「あらら」と思う一方で、それ以上に「よく頑張った」と内心喜んでいた。
 受験生を預かっている身としては、生徒に寄り添って、夜遅くまでとことん付き合ったけど、一番大事な追い込みの最後の何日かでインフルエンザになりました、では話にならない。最後まで責任を持ってペースを落とすことなく走り切るのは当たり前の話である。一方で、過去問演習では、用意始め、の合図とともに飛ばしに飛ばさなければならない。そうすることによって、1時間前後のテストを通して集中力が保てる体力が付いてくるのだ。また、限界を知ることで初めて、どのようにすれば集中力をより良い状態で持続できるようになるかが体感的に分かってくる。それがペース配分をするということである。本番は週末に迫っているが、先の2人に限らず、1回1回のテストで最大限の集中力を発揮して、一喜一憂しそうになりながらも一つずつ何が良くて何がダメだったのかを冷静に振り返りきちんと対策を打つことで本番でより実力が発揮できるようになる。
 今は受験生のことで頭がいっぱいなのだが、中学受験がひと段落した時点で、自らの生活を見直す予定にしている。この1年間は後先考えずに、もう少し、いやもっともっと飛ばして行きたい。

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