志高塾

志高塾について
志高塾の教え方
オンライン授業
読み聞かせクラス
卒業生の声
志高く
志同く
採用情報
お知らせ
お問い合わせ
体験授業申込 カレンダー
志高く

2026.02.03Vol.721 AIが賄えること満たせないもの

 国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソンが1月29日に63歳で亡くなった。闘病中であることを知らなかった。テレビやラジオで彼の話を聴くたびに、「できることなら自分もこんな話、話し方ができる人になりたい」という思いを抱いていた。とにかく思考が柔軟で、自分の考えはしっかりと持っているのだが、それでいて語り口が穏やかなのだ。「モーリーさんのハーバード大時代、キャンベル氏が回想『自由でカッコいい奇才的青年でした』」という記事が、彼という人物をよく表している。
https://news.yahoo.co.jp/articles/609b581f8378504382b249ee717ffb03fc4a43d6
 土曜日の時点で、「次回はモーリー・ロバートソンについて書こう」とほぼ決めていたのだが、その後に、国際ジャーナリストで作家の落合信彦が84歳で老衰のため2月1日に死去という報道を目にした。今の若者にとっては、息子の落合陽一の方が身近であろう。事実を元にした彼のスパイ小説を読むことで、CIAはもちろんこと、イギリスのMI6、イスラエルのモサド、ソ連のKGBなどに少し詳しくなった。今もサスペンスが好きなのは彼の影響かもしれない。大学生の頃に過去の作品をほぼ読み尽くし、それからは新刊を楽しみにするようになっていたのだが、いつの頃からか面白くなくなってしまった。そのときに感じたのは「新しい情報が入ってないな」ということ。過去のものを焼き増しして使い回しているような印象を受けた。私の個人的な感覚なので実際のところは定かではない。裏を返せば、それ以前は海外の諜報機関内に、もしくはそれにかなり近いところに友人なり知り合いがいて、生の情報が得られていたということである。私にとって、アフターはどうでも良くて、私をのめり込ませてくれたビフォーがあったことこそが大事なのだ。
 前回も取り上げた石黒浩教授が、講演の中で、万博で活躍していた彼のアンドロイドについて、「お客さんからの質問に答えるのを初めは隣で聞いていただけだったが、非常に勉強になるので途中から慌ててメモを取り始めた」というようなことを書くジェスチャー交じりで面白おかしく語っていた。その瞬間、会場はドッカーンである。当分の間は鉄板ネタとして使われ続けるのだろう。要は、そのロボットは石黒教授の過去の論文をすべて頭に入れた上で、インターネット上から様々な情報を取ってきて、それらを掛け合わせて話すので、当の本人の考えに沿った上で、新たなものが付け加えられる可能性を秘めているのだ。前の一文で、何気なく「過去の論文をすべて頭に入れた上で」としたのだが、ロボットに対して「頭」という表現は適切なのだろうか。
 志高塾では現在、いろいろと手を入れに行っている、もしくは入れる準備をしているところなのだが、その一つにHPの改変がある。たとえば、「よくある質問」というのを加えようとしている。隠すようなことでも無いのでその目的を明らかにすると、ずばりSEO対策である。HPの検索順位を上げたいのだ。これまで設けてこなかった理由は、あるHPを訪問したときに、そのようなものを見て「参考になる」となった経験が私にほぼ無いからである。それにも関わらずやるのであれば、読んでいただいた方に、最低限「面白い」と感じていただけるようなものにしなければならない。先週の時点では、石黒教授の話に着想を得て、過去の『志高く』、内部配布用(月1回生徒の親御様向けに書いているもの)とブログをすべて読み込ませた上でAIに答えさせようとしていたのだが、この文章を書きながら両論併記にしよう、ということを思い付いた。お題と字数だけを決めて、私もそれについて考えてAIのものと並べて掲載するのだ。その際、私は書き上げる前にAIのものを見ないようにしなければならない。それに引っ張られたり、逆に差別化しようとしたりして自然体でなくなってしまうからだ。
 石黒教授がプロデューサーを務めた大阪・関西万博シグネチャーパビリオン「いのちの未来」では、孫の女の子が「大好きなあばあちゃんのアンドロイドを残してほしい」と懇願し、それに祖母が思い悩み、結論を出さないまま終わる、という展示がされていたとのこと。AIの進歩のおかげで、故人であってもまるで生きているかのようにやり取りができる時代が来る。もし、私が何かしらの悩みを抱えたときに、お釈迦さん(ゴータマ・シッダールタ)ならどのように答えるかをAIに尋ねれば、「なるほど」となる答えが得られる気がする。特に私の場合は基本的に人に悩み相談をしないので、そのような意味でもうってつけかもしれない。冒頭のニュースに触れ、モーリー・ロバートソンの本を読んだことが無かったことに気づき、最新刊の『日本、ヤバい。「いいね」と「コスパ」を捨てる新しい生き方のススメ』を注文した。もし叶うのであれば、「最短の遠回り。」というキャッチコピーに関する彼の感想を聞いてみたかった。どれだけ彼の考えを踏まえたものであっても、AIの出したものに私が満足することは無いであろう。それであれば、「こんな風に答えてくれるんじゃないかな?」と想像している方がきっと満足できる。ここで挙げたお釈迦さんとモーリー・ロバートソンの違いは何なのだろうか。それは、生前をリアルタイムに知っているかどうかである。志高塾のキャッチコピーへの意見を直接尋ねることは非現実的だが、今世の中で起こっていることに対する彼の生の感想を知りたいのだ。そんなことを考えていたこの数日間であった。

PAGE TOP