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2022.04.05Vol.538 ジャイアン根性

 中3の8月から高3の9月まで通った生徒のお母様から、「無事に第一志望の一橋大学に合格しました」との連絡をいただいた。9月で辞めた、という方が正確な表現であろう。高3になるまで入塾後ずっと私が彼の月間報告の責任者を続けてきたという認識だったのだが、今調べてみると途中1年以上他の講師に任せていたことが判明した。「人の」がどうかはさておき、少なくとも「私の」記憶なんてその程度のものなのだろう。ただ、そのように錯覚するぐらい私が直接教える機会が多かったのは紛れもない事実のはずである、きっと。
 彼のその中途半端なタイミングでの退塾は私にとって痛恨の極みであった。「あぁ、俺はあそこで完全に判断を誤ったな」と。大学受験に向けての最後の1年間は、過去問対策を含めた読解問題の指導が主になるので、なんちゃって国語先生を地で行く私より他の講師の方が結果に結び付けられる、と考えて、その時点で手を引いてしまったからだ。夏休み以降は過去問を通して実力を付けていきたいと考えた彼にとって、時々過去問を組み込みはするものの地力を付けるためにもう少し基礎的な問題を解いた方が良いとの講師の考えは受け入れられずにそのような幕引きになってしまった。これに関してはどちらかが正しくて、一方がそうでない、ということではない。1つ確かなのは、彼の望むものと別のものを勧めるのであれば、彼の言い分をよく聞いた上で、彼自身が納得できる説明をしなければならなかった、ということである。じめっとした話はこここらへんで止めておこう。
 そのお電話で嬉しいお言葉をいただいた。「辞めた後にどこかの塾で国語を習ったわけでは無く、社会も2次試験は記述がメインなので志高塾で学んだことが役立ったはずである」、「先生に月間報告で書いていただいたことは、今後(本人が読み返した時に)役立つ気がしています」などなど。すぐに調子に乗る性格ゆえに、いつもであれば「何も大したことはしていませんので」と真に受けないように気を付けているのだが、ことこれに関しては、ある程度までの拡大解釈を許してもらった上で全部素直に受け入れることにした。
 就職活動に始まり社会人生活を通して、人間として決定的に欠落している部分があることを私は嫌というほど思い知らされた。幼い頃からもっとこういう教育を受けられていたら少しはましな人間になれていたかもしれない、の「こういう」が志高塾の教育方針の元となっている。過去を嘆いて終わっているわけでは無く、目下必死にその穴埋めをしている最中である。その若かりし頃、彼我の差を実感させられた一人に就活中に出会った一橋の学生がいた。彼とは何人かで2,3回お酒を飲んだ程度の仲なので今となっては名前も覚えていないが、自己主張を繰り返す私に対して、彼は人の話にもきちんと耳を傾けた上で自分の意見を柔らかく展開していた。もちろん、論理的に。それはそれは決定的な違いであった。
 あるグループに対するイメージと言うのは、自分が直接知っている人を元に形作られる。私にとっての一橋の1人目は彼だったので、最初からかなり高い位置に設定された。2人目はというと、その元生徒のお父様である。そのお父様は東京で単身赴任中ということもあり、個人面談を一度ズームでさせていただいただけなのだが、一橋出身の人ってやっぱこうだよなぁ、と再認識する話し方をされていた。そもそも人生経験自体も圧倒的に違うのであるが。直接話す機会はその一度だけだったのだが、それまでにも月間報告に毎月目を通してくださっていること、その内容を評価してくださっていることをお母様からお聞きしていた。社会の第一線で活躍されていることを存じていたこともあり、その言葉に随分と励まされたものである。
 彼の受験の話に戻そう。早慶に合わせて3つ出願していたらしいのだが、一橋にできる限りエネルギーを割くために、結果的には教科数も少なく極力負担の少ない1つだけしか受けなかったとのこと。もちろん合格している。私はそういう受験を好む。実際、私が受験生の頃、京大が第一志望でボーダーライン上にいるにも関わらず、滑り止めで関西からわざわざ早慶を受けに行く連中が信じられなかった。行き帰りのことを考えると、少なくとも丸2日間は取られてしまうからだ。そもそも滑らなければ、滑り止めは必要ないのだ。残り1年の時点で、さすがに一橋は厳しそうだ、というのが私の見立てだったのだが、持ち前の頑固さ、もとい、強い意志で合格を勝ち取った。それは間違いなく賞賛に値する。受験は強さだけでどうにかなるが、社会に出てから活躍するためにはそれにしなやかさを加えた強靭な意志が必要となる。大学生活を通して、是非そのようなものを身に付けて行って欲しい。お母様には、大学生版の「十人十色」である「beforeとafterの間」のこともお話しした。いつか一皮も二皮も向けた彼の姿を見たいものである。それを目の当たりにした暁には、少なからずその基礎作りには自分が関わったと思い込むことにしよう。「お前のものは俺のもの」的発想である。

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