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2026.04.28Vol.732 海外旅行×初体験

 レンタカーが原因でそれなりに大変な思いをした2大トラブルを紹介する。まずはイギリスで借りた電気自動車の話から。帰国後、この春大学に入学した生徒のお父様、お母様とお食事に行った際に、そのときのことを話すと、お父様から「先生、チャレンジャーですね~」と言われてしまった。日本でも乗ったことのなかった電気自動車を選んだからである。そのお父様曰く、電気自動車は日本でもいろいろと問題が起こるらしいのだ。もし、免許を取って以来一度も運転していないミッション車にしていたのならその言葉も当てはまるのだが、予約前に、「イギリス レンタカー 電気自動車 注意点」といった感じで何度か調べた上で、「よし、これなら大丈夫」と自信を持って、私はガソリン車ではなくそちらを選択した。旅行前に、充電スタンドのお勧めアプリを入れ、訪れる町のスタンドの状況を調べてみたり、レンタカー2日目のストーンヘンジからリバプールに移動するときの移動距離が350kmと長く、充電無しで行けるか、もし難しそうであればどこで充電するかなどのシミュレーションも行ったりしていた。レンタカー初日は、ロンドンから150kmのところにあるストーンヘンジに向かった。距離が短かったこともあり80%ぐらいは残っていたが、練習をしたかったのと、何よりも次の日のために100 %にしておく必要があったため、スーパーで買い出しをする時間を利用して充電をしてみた。未体験のことと言うのは、何歳になっても大なり小なり不安が伴うものである。初めての充電は、予想より時間を要したこと以外は順調に終えた。
 翌日、朝早くにホテルを出たこともあり、二男はのんきに私の横で眠っていたのだが、私はというと、たとえば、90%から80%まで、75%から65%までと言ったように10%減る間に何km進むかというのを2回に分けて計算して、目的地までの残りの距離と残量を比べてノンストップで行けるかの確認をしていた。日本と同じ左側通行、右ハンドルなので運転自体は問題無いのだが、スピード違反を取り締まるカメラが多いこと、高速道路はほとんど無料なのだが、わずかに有料区間もあり、そこを通った場合はその日のうちにカードで自ら支払いをしないと延滞料金が掛かり、それが結構な額になる可能性があるということなどを事前に調べて知っていたので、それなりに気は使い続けていた。走ってみて分かったことは、日本のように料金所があるわけではないので自分が有料区間を利用したかどうかさえ把握できないということである。それゆえ、レンタカーを返す際に、「有料区間を通っていた場合は後日レンタカー会社を通して請求されるのか」という確認をし、”Yes”との返答を得て、ようやく一安心した次第である。休憩することなく無事にリバプールに到着し、その日最初の目的地であった大聖堂から徒歩圏内のスタンドに車を止めた。1時間後、15%だった数値がいくらになっているかを2人で予想しながら戻ってくると、まさかの15%のままだったのだ。充電がスタートされたことは2人で確認していたので、それを見た瞬間「えっ!?」となった。同じスタンドの他の充電器で試しても同じことが起こったので、ホテルが近かったこともあり、一度チェックインすることにした。入学した高校から出された宿題をする必要あった息子をホテルに残し、私一人、今度は別のスタンドに向かうことにした。アプリで調べる際に重視したのは、ガソリンスタンドに併設されているなど、何か問題が起こったときにサポートを受けられるかどうかということ。今度は、チャージが始まらないどころか差し込んだ充電コネクタが抜けなくなってしまったのだ。店員さんを呼んで、2,30分格闘してもらい、どうにかこうにか外れたものの何が原因でそうなったのか分からないまま、私の対応に疲れたからか、彼から、少し先に同じテスラのスタンドがあるからそこで入れればいい、と勧められた。「同じ機械やったらまた同じことが起こるやん」と突っ込みたくなったのだが、もう十分に頑張ってくれたのでそれも言えなかった。車で1分もしないとのことだったのに教えられた目印も見つけられず、その時点で画面に表れていたのは「6%」であった。まずは側道に停車して、できることをすることにした。深呼吸である。少しだけ冷静になって、次のスタンドを探すことにした。そして、マクドナルドに併設されたところに命運をかけることにした。かなり大げさな表現だが、気分的にはかなり追い込まれていた。そこに到着したときには「3%」を示していた。いつも使っているものも含め、2枚のカードでエラーが出て、最後の1枚をようやく受け付けてもらえた。その後、充電も無事に始まり、「4%」、「5%」と数字が大きくなっていくのを確認してようやく胸を撫でおろすことができた。一番困ったのは、うまく行ったときも問題が起こったときもその理由、原因が分からないことである。それゆえ、再現させることも、それを防止することもできないのだ。実際、ロンドンへの帰路、また同じ問題に悩まされることとなった。紙幅の関係上、詳細は割愛するが、そのときも30分から1時間ぐらいは悪戦苦闘する羽目になった。アイスランドでの一大事は次回以降に持ち越しである。
 前回、平均、共生、融合がそれぞれ“(a+b)÷2”、“a+b”“a×b”という式で表されるという話をした。後から振り返ってみると、海外旅行で初めて電気自動車をレンタカーする、というのは問題が発生しやすい組み合わせ、融合になっていたのだ。
来週はGWで教室が1週間休みなのに伴い、ブログもお休みです。

2026.04.21Vol.731 ハーフかダブルか

 「ハーフかダブルか」を言い換えると「平均か融合か」になる。
 思い付くままに好き放題言っていると思われることが少なくない私だが、さすがにこの歳になると、そんなことはない。2つの選択肢があり、そのどちらにするかで迷えば、より自分の気持ちが伝わる方を選ぶ。時に相手を不快な気分にさせてしまうこともあるが、自分なりに相手を思って選択した結果なので、その経験を次に生かす以外にできることはない。一方で、単語レベルの、何のこだわりもないものであれば無難な方を選択する。ハーフというのは失礼でダブルと呼ばないといけない、ということを知ったとき、「そういうもんなのか。じゃあ、これからはダブルを使おう」となった。1年ぐらい前にゴルフに行った際、キャディの若い女の子が「私、パパが日本人でママがフィリピン人のハーフなんです」と言うので、「あれっ?最近はダブルって言うんちゃうの?」と聞くと、「そんな言葉使ったことないです」と平然と返されて「えっ!?」となった。最近の世の中は、溢れ返っている「〇〇ハラ」が象徴するように、言葉遣いが、加点法ではなく完全なる減点法になってしまっている。
 前回はお休みしたものの、今回は旅行記である。ロンドンパスという便利なものがある。それについてAIに尋ねると、「ロンドン塔やウェストミンスター寺院など、100以上の主要観光スポットへ定額で入場できるデジタル観光フリーパスです」と要約してくれた。日数は自分で決められるので私は4日間券を購入した。これまた、さすがにこの歳になると、大阪人根性丸出しで元を取ろうとあれもこれも、と詰め込むことは無い。行きたいところは4日で大体収まりそうだったのだが、一番迷ったのは「フレームレス」だ。再びAIの登場である。「フレームレス(Frameless)は、ロンドンにある英国最大の没入型デジタルアート体験施設で、名画の世界に全身で浸れる場所です。モネ、ダリ、ゴッホなどの傑作が、最新の投影技術と音楽で360度表現されます。床から天井まで包み込む映像空間は、視界のフレーム(枠)を取り払ったような没入感を提供し、29人のアーティストの作品を4つのギャラリーで楽しめます」。興味はあったものの躊躇したのには、「Vol.726掘り起こし作文」で触れた「クリムト・アライブ展」が期待を下回ったことが影響している。あのときよりもいろいろな画家の作品をたくさん見られるだけなのであれば、わざわざ旅行中の貴重な時間を使ってまで行く必要はないよな、というのが私の考えたことであった。結論から言うと、大正解であった。アートに興味がある人に、「ロンドンでどこか良い所はありますか?」と聞かれたら、これから以下で説明する内容について熱く語った上でお勧めする。
 1時間ぐらいでささっと見て帰る予定にしていたのだが、結果的には2、3時間、身を置くこととなった。ちょうどそのときは、二男の経験のため、あえて一人で観光するように別行動にしていたので、2週間の旅行中で唯一自分のやりたいことを気兼ねなくできたひと時であった。ちなみに、そこを出た後は、ハイド・パークという大きな公園の中を1時間近く掛けてゆっくりと一人で歩いてホテルに帰った。今グーグルマップで調べると、普通に歩けば30分の距離であった。きれいな景色を見つけては立ち止まってスマホで写真を撮っているときに、フィルムカメラを使っていた学生時代の癖が抜けていないことに気づいた。連写して、その中に偶然良いのがあればいいや、というのはどこかインチキのような気がして嫌なのだ。良さそうなアングルを探して1枚だけ撮る。さすがにその場で確認はするが、基本的には撮り直しはしない。話がそれて行きそうなので、「フレームレス」に話を戻す。「デジタルとアナログの融合」というのは手垢のついた言葉だが、大げさに表現すればそれを初めて実感したような気がする。後ほど、私が撮ったカナレットの『大運河でのレガッタ』をインスタにあげてもらう予定にしているが、一番感動したのは別のものであった。残念ながらそれは録画しておらず、調べてみたものの誰の作品かさえ分からなかったのだが、夜の街でバイオリンを弾いている男の子がいて、あたかもその演奏を、その場で実際に聴いているような何とも心地良い気分に浸れたのだ。それと対極にあったのが、レンブラントの『ガリラヤ湖の嵐』。大嵐の、波が激しくうねる中で船がどうにか転覆しないように耐えている様が臨場感たっぷりに伝わって来た。それらのデジタルの動画を見ていると、実際の作品は、その一瞬を切り取って表現したような錯覚に陥った。
 まとめに入る。平均と融合をそれぞれ式で表すと、“(a+b)÷2”、“a×b”となる。その間にあるのが、共生(a+b)かもしれない。aとbに1を代入すると、その値は平均、共生、融合の順に、1, 2, 1となり、平均と融合は等しく、共生が一番大きくなる。2であれば、2, 4, 4となる。3の場合はどうか。3, 6, 9と、このとき初めて融合が3つの中で最大値を取るという理想的な形になる。開塾当初は、性格などが対極にある2人のお子様をお持ちの親御様から「あの子たち、足して2で割るとちょうど良いのに」という話をそれなりに聞いたのだが、最近はあまりそのようなことを耳にしなくなった。その理由はよく分からないが、当時、「そんなことしたら何の特色もない、面白くも何ともない2人ができ上がるだけですよ」と伝えていた。料理において「意外な組み合わせ」と呼ばれるものは、それぞれの具材に特徴があり、引き立て合う関係になって初めてそのような評価が得られる。我々の場合、生徒の中の3以上の部分を見つけることから始めなければならない。もし、ある時点で、どれも1や2なのであれば、3以上になりそうなものを探し出す必要がある。そして、それを将来生きるように作文を通して伸ばす。それこそが志高塾における融合である。

2026.04.14Vol.730 無意識ときどき不思議な縁

「先生、髪型が…お若い!!」
「ありがとうございます。髪型は!」
「髪型も」

 このやり取りは、私の投稿を見た元生徒のお母様Tさんとの、Facebook上のコメント欄における最近のものである。今調べてみると、開塾したひと月目に当たる2007年4月に体験授業に来られ、お子様の通塾期間はわずか1年程度だったのだが、その後も付き合いは途切れることなく、1年1回ぐらいのペースで顔を合わせていた。この5年ぐらいは会えておらず、上のように言葉を交わしたことすらこの3年間は無かったはずである。旅行について書きたいことは山ほどあり、忘れないうちに文章にしておきたいのだが今回は別のテーマを扱う。
 USJの経営を立て直したことで一躍有名になった森岡毅の本について、以前、それなりの字数を割いて触れた。飛ぶ鳥を落とす勢いだったのだが、2024年3月に開業したイマーシブ・フォート東京は2026年2月にわずか2年で閉じることとなり、話題を集めた沖縄のジャングリアも苦戦していることが伝えられている。それに加えて、マーケティング会社「刀」の創業メンバーで、腹心でもあったCFO(最高財務責任者)が電撃辞任したことが数日前にニュースになっていた。ジャングリアの資金集めに相当苦労したことを著書の中で吐露していたが、それに一番尽力した人を失ってしまったのだ。批判的な評判をよく耳にするジャングリアにも、できれば今年中に一度訪れて実際に体感してみたいと考えているぐらいなので、ここで森岡毅や「刀」について、ネガティブな評価を下したいわけでない。ただ、YouTubeで偶然流れてきた、それなりに名を知られているらしい若手社長が語っていた否定的な意見に対して、それは確かに、となった。森岡毅はマーケターとして丸亀製麺に関わった。他のチェーン店でよくあるように、工場でまとめて作って冷凍したものをただ温めて出すのではなく、店舗ごとで手打ちをしているという独自性をアピールするために、外からも見えるようにガラス張りにしたことなどでV字回復させた、と本の中で成功事例の一つとして誇らしげに語っていた。当事者たちは当たり前のこととして気づいていない強みを見つけ出して、それをどのように活用するか、という一連のプロセスに私は共感したのだが、その社長が、「あくまでもマーケターとして関わっているだけなのに、すべて自分の手柄にしてしまうところが森岡さんの良くないところ」という指摘していて、それは一理あるな、となったのだ。
 志高塾の影も形もなかった20代後半、独立したいという思いは募る一方なのに、肝心要の何をするかを見つけられていなかったこともあり起業関連の本を読み漁っていた。その中で美容と教育は成果が出なくても責任が問われづらい、というようなことが書かれていたことは印象的であった。「同じようにやって、他の人(他のお子さん)はうまく行っているので、あなた(あなたのお子さん)に問題があるんじゃないですか」と開き直りやすいというのがその理由であった。要は、因果関係が分かりづらいのだ。その考えに膝を打ち、志高塾を始めたわけではないということを念のために断っておく。このことについて触れたのは、その逆もまた真なり、ということを伝えたかったからだ。「志高塾のおかげで子供が成長できました」という嬉しいお言葉をいただくことがあるのだが、子供なので放っていても勝手にできることは増えていく。もし、生徒本人が「志高塾で学んだから」ということを意識することで、それが自信につながるなどプラスに働くのであれば大いに結構であるのだが、そうでなければ志高塾が表に出てくる必要はどこにもなく、彼らが知らないうちに彼らの人生を切り開くことに貢献するのが我々の果たすべき役割なのだ。
 例のごとく前置きが長くなったが、中1の終わりの3月に入塾し、3年間と少し通い高2の7月に辞めたN君がこの春の大学受験を終え、その報告を兼ねてわざわざあいさつに来てくれた。電話をもらえることすら期待していなかったので、それだけでも十分嬉しかったのだが、彼の口から「志高塾で学んだおかげで」という言葉が会話の中で飛び出したので、そのまま真に受けてありがたく受け取ることにした。優に30分以上は話したのだろうが、その中で「やっぱ、おもろい奴やな」と感心させられるようなことが何度かあった。たとえば、「大学入ったら何したいん?」との問いには、勉強以外の話が出てくることを予測していたのだが、間髪入れずに「本格的に物理学を学びたいです。高校の物理だと、なぜそうなるのかを知りたいところがきちんと式で説明されずに、『ここはこういうもんだから』と暗記させられるのが嫌でしょうがなかったです」という答えが返ってきた。ちなみに、そのうやむやにされた部分に関しては、なぜそうなるのかを自分で調べて勉強していたとのこと。高校1年の夏休みに1か月間のイギリス留学から帰ってきた後は、「大学なんか行かずに、バンドマンになる」と真剣に語っていたぐらいなので、一般的に想像される真面目な学生、というのとは随分と異なる。あまりに話が興味深かったので、「HPに『卒業生の声』というのがあるねんけど、それにコメント載せてくれへん」というお願いをすると、「えっ、良いんですか?」とその場で快諾してくれた。先週末に400字程度の原稿が上がってきて、現在、修正をお願いしているところである。さらには、その大学に入ってから学びたいことが既に明確になっているところが素晴らしかったので2,000字程度のロングバージョンの依頼もしてはいる。こちらに関しては実現するかは定かではないが、そのように考えていた高校生がいるということを少しでも多くの人に知ってもらいたい。
 TさんとN君とのやり取りはいずれも旅行に行く直前のことだったのだが、よくよく考えてみると、N君のお母様はTさんに紹介されてお子様を連れてこられたのだ。よく「不思議な縁」と言うが、世の中に不思議でない出会いなど存在しない。「偶然の出会い」が「不思議な縁」に昇華するためには、それなりにポジティブな意味合いを帯びる必要がある。「不思議な縁があった」と思っていただけるような塾でありたいが、そんなことは本来どうでも良いことであり、先に述べたように、志高塾で学んだ子供たちの未来を切り開くことに少しでも貢献することこそが我々の使命なのだ。

2026.04.07Vol.729 資料読解 ~主にアイスランド編~

 昨日帰国した。ブログをアップする当日の時点で一字も書けていないのは、少なくともこの一年ではなかったはずだ。というのも、向こうでちょこちょこと書き留めておく予定にしていたのだが、私のパソコンを二男に使わせていたためそれができなかったのだ。もちろんやる気になれば空いているときにいくらでもできたのだが、ただ気が向かなかった、というだけの話である。その分、ブログの材料集めのために頭の中でいろいろなことに思いを巡らせていた。
 アイスランドでは、首都のレイキャビクから1時間以上離れたある町で全3泊したので、コンビニのようなものはもちろん無く、食料品が手に入るスーパーは車で30分以上も掛かるところにしかなかった。そのため、買いだめをすることになったわけだが、そうなると帰国の際に捨てざるを得なくなる食料品がそれなりに出てきてしまう。また、今回の旅行の最初の目的地であったロンドンでは、キッチン付きのコンドミニアムに宿泊していたため、調理に最低限必要な油と塩、サラダを食べる際に使うドレッシングを現地で手に入れ、塩とドレッシングはアイスランドまで持って行ったのだが、それらも最終的には廃棄した。若い頃であれば、もったいないので少々重くても持ち帰ったのかもしれないが、さすがにそんな気にはなれなかった。
 志高塾には、主に中学生以上の生徒が取り組む「資料読解」というテキストがある。エネルギーに関するものであれば、日本の発電量の内訳の変遷や、諸外国と日本の電力自給率が比較された資料などが与えられ、それらを読解した上で、そこから言えることをまとめたり、具体的な改善策などを提案させたりするのだが、フードロス、プラスチックゴミの排出量、インバウンドの3つもその中で取り上げられている。外国人観光客が日本から出国する際にスーツケースやキャリーケースを空港などに大量に置き去りにしていることが時々ニュースで報じられているが、旅行関連で発生するゴミというのはかなりの量に達するのではないだろうか、ということを今回の旅行を通して初めて考えた。「かなりの量」というのは実に抽象的な表現ではあるが、それを改善することは環境問題にとってそれなりにインパクトがある、という意味で用いた。まあ、「それなりに」自体も抽象的ではあるのだが。特に「資料読解」に取り組んでいる生徒たちには次のようなことを繰り返し伝えている。「わざわざ志高塾に来て作文をしているのだから、とりあえず提出をすれば良い学校のそれとはまったく意味合いが違う。書き上げることがゴールではなくスタートなのだ。これを機に、その社会問題に興味を持ったり、さらに掘り下げたりして初めて作文をしたことの意味が出る」。これまで生徒たちに偉そうに語っていただけのことはあって、それを自然と実践できたことに少なからず納得している。
 旅行におけるゴミの問題に話を戻すと、初めに思い浮かんだのはそれをビジネスにできないか、ということ。捨てずにリサイクルするということである。元々捨てられるものであったので、ただ同然で買い取る。空港でのお土産購入の際に使えるディスカウントチケットのようなものと交換しても良いかもしれない。そして、それらを入国した旅行者に安値で提供する。私が日本人ということもあるが、商品が清潔かどうかは非常に重要になる。クリーニングなどの手間を考えると大して儲からないのだろう。もし、本当にインパクトがあるのであれば、地球温暖化ガスの排出規制のように地球全体で抱えている環境問題と捉えて、世界を挙げて取り組んで行くべき課題として事業者に補助金を出してでも解決に向けた対策を施す必要がある。また、ロンドンのスーパーには私が見た限り、塩も油もドレッシングも量の多いものしか置いていなかったため、せめてキッチンが付いている宿泊施設では、必要最低限の調味料に関して有料無料はさておき小分けにしたものを置くことを義務付けるなどすれば、私のように1, 2割だけ使用して、そのほとんどを捨てることは防げる。この段落で述べてきたことは他愛もないものである。自己弁護をするわけではないが、自らが経験したことに対して、些細なことでも良いので自分なりに考えていくことが重要である。ちりも積もれば山となるではないが、そういう小さな積み重ねがアイデアと呼べるレベルのものを生むことにつながる。
 また、昨日、先に述べた日本のエネルギー問題に取り組んでいる高三の生徒がいたので、火にかけたばかりのおでんのように、まったく味がしみ込んでいないにも関わらず、考えたばかりのことを嬉々として披露した。それは以下のような内容であった。「原発の事故や、今回のホルムズ海峡封鎖のように何か問題が起こるたびに、日本は新たなエネルギー源を探そうとするが、そうやって簡単に見つかるものではない。たとえば、アイスランドは電力の約3割、熱供給の90%以上を地熱で賄えている(数字が頭に入っていたわけではないので、その場で調べた上で具体的な数字を伝えた)のだが、それは既にあるものをどう利用しようかと考え続けた結果だ。それらを踏まえると、現状、日本は原子力発電をより安全に運用する、ということしか選択肢が無い気がする」。そう言えば、経済産業省が先月、2027年度から大規模太陽光発電所(メガソーラー)の新設に対する固定価格買取制度(FIT/FIP)などの導入支援を終了することを発表していたが、思い付きでエネルギー政策がうまく行くはずがない。
 もし、この2週間の旅行を通して、感じたこと考えたことの鮮度を保てるのであれば少なくとも後3回ぐらいはそのことについて書ける。「マツカゲ武者」も1か月で随分で腕を上げたが、まだ私の書くことの方が面白いはずだと信じている。「五十歩百歩」、「どんぐりの背比べ」という慣用句を思い浮かべられていないことを願いながら旅行記第一弾を終えることとする。

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