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2026.04.21Vol.731 ハーフかダブルか

 「ハーフかダブルか」を言い換えると「平均か融合か」になる。
 思い付くままに好き放題言っていると思われることが少なくない私だが、さすがにこの歳になると、そんなことはない。2つの選択肢があり、そのどちらにするかで迷えば、より自分の気持ちが伝わる方を選ぶ。時に相手を不快な気分にさせてしまうこともあるが、自分なりに相手を思って選択した結果なので、その経験を次に生かす以外にできることはない。一方で、単語レベルの、何のこだわりもないものであれば無難な方を選択する。ハーフというのは失礼でダブルと呼ばないといけない、ということを知ったとき、「そういうもんなのか。じゃあ、これからはダブルを使おう」となった。1年ぐらい前にゴルフに行った際、キャディの若い女の子が「私、パパが日本人でママがフィリピン人のハーフなんです」と言うので、「あれっ?最近はダブルって言うんちゃうの?」と聞くと、「そんな言葉使ったことないです」と平然と返されて「えっ!?」となった。最近の世の中は、溢れ返っている「〇〇ハラ」が象徴するように、言葉遣いが、加点法ではなく完全なる減点法になってしまっている。
 前回はお休みしたものの、今回は旅行記である。ロンドンパスという便利なものがある。それについてAIに尋ねると、「ロンドン塔やウェストミンスター寺院など、100以上の主要観光スポットへ定額で入場できるデジタル観光フリーパスです」と要約してくれた。日数は自分で決められるので私は4日間券を購入した。これまた、さすがにこの歳になると、大阪人根性丸出しで元を取ろうとあれもこれも、と詰め込むことは無い。行きたいところは4日で大体収まりそうだったのだが、一番迷ったのは「フレームレス」だ。再びAIの登場である。「フレームレス(Frameless)は、ロンドンにある英国最大の没入型デジタルアート体験施設で、名画の世界に全身で浸れる場所です。モネ、ダリ、ゴッホなどの傑作が、最新の投影技術と音楽で360度表現されます。床から天井まで包み込む映像空間は、視界のフレーム(枠)を取り払ったような没入感を提供し、29人のアーティストの作品を4つのギャラリーで楽しめます」。興味はあったものの躊躇したのには、「Vol.726掘り起こし作文」で触れた「クリムト・アライブ展」が期待を下回ったことが影響している。あのときよりもいろいろな画家の作品をたくさん見られるだけなのであれば、わざわざ旅行中の貴重な時間を使ってまで行く必要はないよな、というのが私の考えたことであった。結論から言うと、大正解であった。アートに興味がある人に、「ロンドンでどこか良い所はありますか?」と聞かれたら、これから以下で説明する内容について熱く語った上でお勧めする。
 1時間ぐらいでささっと見て帰る予定にしていたのだが、結果的には2、3時間、身を置くこととなった。ちょうどそのときは、二男の経験のため、あえて一人で観光するように別行動にしていたので、2週間の旅行中で唯一自分のやりたいことを気兼ねなくできたひと時であった。ちなみに、そこを出た後は、ハイド・パークという大きな公園の中を1時間近く掛けてゆっくりと一人で歩いてホテルに帰った。今グーグルマップで調べると、普通に歩けば30分の距離であった。きれいな景色を見つけては立ち止まってスマホで写真を撮っているときに、フィルムカメラを使っていた学生時代の癖が抜けていないことに気づいた。連写して、その中に偶然良いのがあればいいや、というのはどこかインチキのような気がして嫌なのだ。良さそうなアングルを探して1枚だけ撮る。さすがにその場で確認はするが、基本的には撮り直しはしない。話がそれて行きそうなので、「フレームレス」に話を戻す。「デジタルとアナログの融合」というのは手垢のついた言葉だが、大げさに表現すればそれを初めて実感したような気がする。後ほど、私が撮ったカナレットの『大運河でのレガッタ』をインスタにあげてもらう予定にしているが、一番感動したのは別のものであった。残念ながらそれは録画しておらず、調べてみたものの誰の作品かさえ分からなかったのだが、夜の街でバイオリンを弾いている男の子がいて、あたかもその演奏を、その場で実際に聴いているような何とも心地良い気分に浸れたのだ。それと対極にあったのが、レンブラントの『ガリラヤ湖の嵐』。大嵐の、波が激しくうねる中で船がどうにか転覆しないように耐えている様が臨場感たっぷりに伝わって来た。それらのデジタルの動画を見ていると、実際の作品は、その一瞬を切り取って表現したような錯覚に陥った。
 まとめに入る。平均と融合をそれぞれ式で表すと、“(a+b)÷2”、“a×b”となる。その間にあるのが、共生(a+b)かもしれない。aとbに1を代入すると、その値は平均、共生、融合の順に、1, 2, 1となり、平均と融合は等しく、共生が一番大きくなる。2であれば、2, 4, 4となる。3の場合はどうか。3, 6, 9と、このとき初めて融合が3つの中で最大値を取るという理想的な形になる。開塾当初は、性格などが対極にある2人のお子様をお持ちの親御様から「あの子たち、足して2で割るとちょうど良いのに」という話をそれなりに聞いたのだが、最近はあまりそのようなことを耳にしなくなった。その理由はよく分からないが、当時、「そんなことしたら何の特色もない、面白くも何ともない2人ができ上がるだけですよ」と伝えていた。料理において「意外な組み合わせ」と呼ばれるものは、それぞれの具材に特徴があり、引き立て合う関係になって初めてそのような評価が得られる。我々の場合、生徒の中の3以上の部分を見つけることから始めなければならない。もし、ある時点で、どれも1や2なのであれば、3以上になりそうなものを探し出す必要がある。そして、それを将来生きるように作文を通して伸ばす。それこそが志高塾における融合である。

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