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2021.07.13Vol.502 もう1つの宗旨替え(補足編)

 前回、途中の段階まで入れ込んでいたものの削除した内容を大幅に修正して紹介するところから始める。

 新入社員の頃にマーケティングを学んでいた、ということをこれまで何度か述べた。その中で、どのステークホルダー(利害関係者)を最も重視するべきか、ということを考える課題があった。上場企業の場合、株主、従業員、顧客、ビジネスパートナー、環境、地域社会などがそれである。メーカーにとって下請け工場はビジネスパートナーに当たり、電力会社であれば環境や地域社会との関係は無視できない。確か、株主が答えだと教えられたはずである。企業は彼らのものであるから、というのがその理由。その株主の期待に応えるためには株価を上げる必要がある。
 当時、自分が一社員であったというのも無関係ではないのだろうが、株主ではなく従業員こそ大事にすべきだというのが私の考えであった。私にとっては、どれが一番大事か、ではなく、どこから手を付けるか、という話だった。従業員が満足することで顧客へのサービスが良くなり、それによって業績が上がり株価が上昇する、というサイクルをイメージしていた。志高塾の場合は、非常にシンプルで基本的には従業員と顧客しかない。ちなみに、教育業における顧客は生徒と親になる。従業員に関しては、社員講師、社会人講師、学生講師と呼び方を決めたことをここで報告したはずだが、常勤講師と非常勤講師(その中に、社会人、学生の区別がある)でも悪くないな、ということに最近気付いた。それは常にいるかそうでないかを表しているだけだからだ。学校の先生であれば、枠に限りがあるため常勤希望なのになれないということが少なくない。しかも、そこでは同一労働であるにも関わらず賃金格差が生まれている。しかし、志高塾では現状、社員になりたいのになれていない講師はいないので、常勤、非常勤というのは水平の関係である。また、正規品という言葉があることからも分かるように、正規と非正規であれば上下になってしまうので好ましくない。そういう意味では、正社員ではなく社員の方がいいのだろうな。そう、その社員の満足度を上げることに私は力を入れなければならない。
 
 上のものが大体800字程度なのだが、「大幅に修正」の作業は削ること一辺倒であった。元々は上記の部分だけで2000字弱もあったので半分以下に圧縮したことになる。字数が膨らんでいた一因は文章を次のように始めていたからである。

前回は500号という区切りだったので長文になった。今回は1000号に向けての一歩なのでこれまた気合が入っている。長ければ良いというものではないが、次回からは元に戻すので今回までは頑張ってお付き合いいただければ幸いです。

完全に空回りをして、気付いたら長くすることが目的になってしまっていた。このようなこともあり、生徒が「作文難しいわ」と漏らすのに対して、「ほんまそうやで」と心から賛同する自分がいる。良いのか悪いのか。
 前回書き切れなかったことがある。いつもながらに単純な式を用いると
(A;従業員の満足度)=(B;仕事から得られるもの)÷(C;労働時間)
となる。
Bの代表格は給与であり、それ以外にやりがいなどが含まれる。立ち上げ当初、私を支えてくれた女性社員の場合は、給与はある程度制限をかけざるを得なかったので(事前に金額を伝えて了承してもらっていた)、いかにCを減らすか、ということに重きを置いた。局面が変わったにも関わらず、私はその考えを引きずっていて、3年ほど前までは社員と言えども1日の拘束時間を6時間ぐらいに抑えられていたはずである。そのことに自己満足していたのだが、間違いに気づき「宗旨替え」する運びとなった。できる限り長時間働かせよう、という考えは今も全くない。だが、私がやるべきは、たとえば、Cを20%増しにしてでもBを50%増しにすることである。そうすれば、Aの満足度は上がる。念のために断っておくと、給与を上げるために授業料を上げるわけでもなければ、親御様を不安にさせて不要な授業まで取ってもらうように導くわけではない。ちょうど夏期講習の時間割を組んでいるところであるが、「これを取った方が良いです」と追加で勧めることよりも、「それは必要ないです」と促す方が多い。その考えは、昔も今も、そしてこれからも変わることはない。中古品を扱う業者が「高く買って安く売ります」ということを謳っているのを見るたびに、「そんなわけないやろ」と心の中で突っ込んでしまう。ブックオフや最近店舗数が一気に増えているセカンドストリートに行って、そのようなことを感じることはない。想定はしているものの「たったこれだけかぁ」となるし、中古品であるにも関わらず結構な値段で売られている。だが、塾業界を含め、サービス業はそれとはまったく異なる。自分達の手で商品の価値を上げられるからだ。ちなみに、授業料に関しては、似たようなものを提供しているところの平均よりは高くならないように設定しているつもりである。我々と同様に一対二という個別スタイルを取っているからと言って、比較の対象にするわけではない。そして、授業の質は20%と言わず50%ぐらい高くなるように持って行きたい。それを実践できれば、生徒は増えるはずなので小細工などしなくても売上は自然に上がっていく。
 意見作文を指導するには、最低限の知識はもちろんだが人生経験も必要である。ただ経験をすれば良いわけではない。実体験を通して様々なことを感じ取り、思考を深め、興味の幅を広げてこそ、生徒に響く言葉掛けができるようになる。海外旅行は分かりやすい例である。行って終わりではなく、帰国後に訪れた国に関する歴史の本などを読めば、立体的に自分の中で組み上がって行くものがある。また、海外に行こうと思えばそれなりにお金が掛かるし、まとまった休みも必要になる。私がそういう環境を整えることで、そこで得たものが生徒に還元される。休みを楽しめれば、仕事の中身も濃くなるはずである。私は、仕事のために休むのでもなければ、休みのために仕事をするわけでもない。人それぞれ考えがあるのだろうが、仕事は仕事として、休みは休みとして充実していることが大事である。
 社員が良い仕事をすれば、社会人講師がそれまでの経験を生かしやすい土壌が醸成されて行くだろうし、伸びしろがたくさんある学生講師は刺激を受けることで成長が加速する。そして、それらは生徒に還元され、親御様には、志高塾と出会って良かった、と喜んでいただける。20代前半に私自身が考えたことはマーケティングのセオリーからは外れていたが、間違っていなかったと今も心の底から信じている。

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