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2019.07.02Vol.404 まだまだ中二病と五月病

 「この人は何を根拠にこのような発言をしているのだろうか?」。そのようなことを以前はそこまで強く意識していなかった。おそらく、この1, 2年のことなのだろう。「大した根拠もないくせに」と非難したいわけではない。
 平日は毎日30分、専門家が日替わりでコメンテーターとして登場する一種のニュース番組を欠かさずにポッドキャストで聞いている。日課になったのは3年ぐらい前だろうか。いや、もっと前からかもしれない。いずれにせよ、私の中で上記のような変化が生まれたことにその番組が影響を与えたことは間違いない。それぞれのテーマに対する意見が面白い、というのが聞き始めたきっかけだったのだが、いつの頃からか意見の元となる情報の多さに興味が向き始めた。とにかくよく調べているのだ。
 この1, 2か月間は衆参同日選挙が行われるか否かがよく話題に上っていた。どちらになろうが私にとってはどうでも良かったのだが、その途中経過が面白かった。結果だけ見れば「無かった」の一言で終わるのだが、その有無に関して、各コメンテーターが自らの情報源から得たものをベースにして、様々な角度から意見を述べていたのだ。
 否決される前提で野党が内閣不信任決議案を提出することはよくあることなのだが、今回は及び腰になっていた。もし、自民党が可決側に回り承認されてしまえば、同日選挙になってしまうからだ。正にやぶへびである。その可能性が非常に低いということが十分に確認された後に、形だけの内閣不信任案が出された。私がもし野党党首であれば、それではあまりにもダサすぎるので潔く「同日は困るので、あえて提出することはありません」とするであろう。その立場にないから言えることなのだろうが、その立場になって言えないのであれば、その立場になってはいけない人なのだ。私が別の仕事をしていたら、子供を持つ親の一人として他の親同様、外側から「こんな教育があればいいのに」と考え、現状に不満を漏らしたことであろう。内側にいる現在はどうか。理想と現実は違うよな、って考えているか。そんなことはない。もっと、理想を追い求める方に向かっている。このシリーズの初め(今回がシリーズ第3弾という位置づけ)にも、中高生が増えていることを述べた。以前であれば、続けてくれるだけで嬉しく、それを意気に感じ、意見作文を通してこの子たちを絶対に成長させてやるぞ、と一人意気込んでいた。今は、人数が増えて気合だけではどうにもならなくなっているため、きちんとしたシステムを築いていく必要がある。今は、その道半ばといった感じである。
 さて、野党第一党の立憲民主党。結党の際に、「単に政府、与党批判ではなく、提案型の・・・」と訴えていた気がするが、その決意はどこへやら。もしかしたら、本当はかなり提案しているのに、全体の1割ぐらいしか占めていない批判ばかりをメディアが切り取って放送しているのかもしれない。そんなはずはないのだが。仮にそうだとしたら、もうニュースで取り上げられず党の存在感が無くなったとしても、私なら批判することはやめさせる。そして、地力をつけることに全精力を傾ける。
 今朝のニュースで、コメンテーターが立憲民主党のある提案について、こき下ろしていた。それは、5年以内に最低賃金(時給)を現在の800円台から1,300円にするというものである。韓国では文大統領が、この2年間で約20%上げて失業率が増加した。それはそうである。売上が増える見込みもないのに、人件費を大幅に増やすことはできない。一人当たりの単価が上がれば、人を減らすというのはごく自然の流れである。韓国で失敗していることをなぜ日本で、ということが批判される理由なのだが、これってあれと同じやん、となった。我々が生徒たちに取り組ませる課題の1つに「間伐が行われないために健康な木が育たない、という日本の林業が抱える問題に解決策を提示する」というものがある。労働者不足が原因なので、力仕事のできる若者を増やすために、賃金を上げる、という意見を出す生徒は少なくない。そのようなものに対して、「原資はどうすんねん?」という突っ込みを入れる。そもそも政府は少子高齢化の対策により一層のお金が必要になるから消費税を上げるのだ。つまり、金銭的な余裕があるわけではない。林業に補助金を出せば、その他の第1次産業である農業や水産業にも、となるかもしれない。また、賃金以外のアイデアとしては「広告で林業をアピールする」というのもそれなりに出てくるが、「募集広告などを見て、行きたいと思ったことあるか?」と質問する。もちろん、意見作文なので、何かしらの意見を出さなければいけないのだが、それよりも大事なことは、それについて様々なことに思いを巡らせることである。たとえば、先の最低賃金の話で言えば、その人件費の増加分をすべて売上増で吸収するのであれば、何%上げる必要があるのか。法人税を下げることで企業の負担を減らそうとするのであれば、いくら減るのか。では、その税収の減少分は何で補填するのか。労働者のために賃金を上げる、というのをミクロな視点で捉えるのではなく、それに関係する要素をマクロ的に分析していく必要がある。
 前回のブログでも、上の段落でもそうであるが、私が意見作文において何を重視しているかを見ていただきたかったのだ。あるテーマに対して、こういう風に書けば点数がもらえるからね、ということを我々は教えているわけではない。できる限り、様々な角度から物事を見られるようにしてあげたいのだ。それができるようになれば自ずと意見は組み上がっていく。そのためには、私自らがその訓練を日常的に行っている必要がある。「きちんとしたシステムを築いていく」ためには、私がそれをしないわけにはいかないのだ。
 将来に役立つ力を付ける。教育の内側で、理想を強く求む。「強く」がある分『世界の中心で、愛をさけぶ』の上を行った気がする。

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