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2026.03.20社員のビジネス書紹介㉚

徳野のおすすめビジネス書
宮口幸治/田中繁富 『「頑張れない」子をどう導くか 社会につながる学びのための見通し、目的、使命感』 ちくま新書

 大前提として、子どもが「頑張れていない」状態は、本人の能力不足や怠け癖から来るものではない。多くの大人は「勉強嫌いな子は、理解力が追いついていないせいで、難しい問題を解けた時の達成感が無いから努力ができないのだ」と捉えて、我が子や教え子を塾に通わせるなどして学習習慣を身に着けさせようとする。だが、それは「苦手なことでも我慢してやりなさい」という根性論の押しつけに他ならず逆効果にしかならない。児童精神科医の宮口氏によると、子どもの内にある学ぶ意欲は「➀見通し、➁目的(ゴール)、③使命感」という三つの軸に支えられて育っていくものである。そして、➀と➁に関しては後者のレベル設定が適切で無いと意味を為さない面があるので、特に小学生に対しては、学校の標準化されたカリキュラムを網羅させることに固執しない方が良い場合もある。大切なのは子どもが「意外と簡単だった」「他の事もやってみたら出来るかもしれない」という気楽さを知れるような体験を積み重ねていくことであり、さらにはその過程に大人が寄り添うことで安心感が増し、ゆくゆくは本人の自信に繋がっていく。
 「安心感」は本著において頻繁に登場するキーワードである。子どもは何より孤独を恐れる。例えば、家では机に向かわない子でも、学校の授業になると真面目に板書しながら積極的に発表するのは、周囲から取り残されることへの無意識の恐怖があるからだ。また、保護者に悩み事を打ち明ける際も、具体的な解決策よりも、苦しみを正面から受け止めてくれる相手の方を求めていることが多い。だから、そこを理解しないまま子どもを問いただしたり叱責したりすると、徐々に信頼を失っていき、最悪の場合、家族間のコミュニケーションが途絶えてしまうのだ。思い詰めている時ほど心の安定のために「話をただ聞いてほしい」と願う点は大人も同じだ、という点を忘れてはならない。
 最後に③の「使命感」について。現役の小学校教員である田中氏は、学びの最終的な目的を「周りの人と物事に関心を持ち、吸収した知識を元に他者と助け合えること」だと定めている。人との交流に充実感を覚える時こそ幸福なのだ、というメッセージを読んで、私は自分の中学生時代を思い出した。
 当時は美術の本を読み始めた頃で、西洋の有名な絵画に関する情報に触れるようになっていた。そんな折に部活の仲間たちと徳島県の大塚国際美術館に行く機会があり、同級生が展示品に対して漏らした疑問の幾つかに(今となっては赤面ものだが)答えたり、作品の背景知識を解説したりした。そんな私に心優しい仲間たちは感心してくれた。さらに嬉しかったのは、後日、皆が学校でも私が持っていた美術書に興味を示して回し読みするようになったことだ。その経験が大学の文学部を志望するきっかけになったことに違いは無いし、今の仕事にも繋がっていると考えている。

三浦のおすすめビジネス書
坪谷邦生 『図解 目標管理入門』 ディスカヴァー・トゥエンティワン

 MBO、KPIやOKR、そういった言葉をビジネス書でもよく見かける。そのたびに「そういうものなんだなあ」程度に漠然と思っていたが、目標意識を持たなければただぼんやりと日々を過ごしてしまうというのは、ビジネスにおいても実生活においてもその通りだ。
 ドラッカーが提唱したMBOというマネージャー哲学は、組織の中で「共通の目標」を設定し、それに個人が「自律的な貢献」を行うことで、「組織としての成果」が生まれる、というものだ。目標管理において特に重要なのはこの「自律的な貢献」で、自分はどのように組織や社会に貢献できるか、という自主性がなければ、ただ与えられたノルマに成り下がってしまう。実質的な目標を個人が立てるのであればマネージャーは何をするのか、それは目標の「方向づけ」だ。何のために行うのか、それがなければ目標は形骸化してしまうし、組織で考えればてんでばらばらな方向を向いてしまう。
 OKRは、その目標達成を具体的にどのようにするか、という実践手法のひとつだ。特に興味深かったのは、「100%達成できるもの、するべきもの」ではなく、達成率が7割程度になる目標を設定し、「失敗を恐れず、やってみる」という土壌を作るというものだ。やりきって然るべき目標と、少し背伸びをした目標。そういった切り分けをすることで、土台作りと挑戦が同時にできるのかと納得した。また、目標を設定する、つまり「集中するものを決めること」は「他を捨てること」ともあった。優先順位をつけるのではなくやらないことを明確にする、とはよく耳にしているのだが、確かに目標設定においても同様だ。それだけの覚悟(というと大げさかもしれない)を持って決めるべき、ということだろう。設定までにどれだけ考えたのか、それに対してどこまで丁寧に振り返りながら進むことができるか、それが「どれだけ貢献できたか」に繋がってくる。

竹内のおすすめビジネス書
西林克彦 『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因』 光文社新書

 文や文章を読むとき、そこに知らない言葉が多数含まれていたり、情報の関連が見えなかったりすると意味を掴みにくい。反対に言えば、語彙を増やすことや背景知識を蓄えていくことが「わかるもの」を多くする助けになる。しかし、躓くことなくスムーズに読み通すことができた時ほど「わかったつもり」に陥りやすい、というのが筆者の主張である。この状態は探索への意欲を阻害してしまうため、初め以上に読みを深めていくことを困難にする。これは誰しもに起こり得るということが、小学生や大学生を対象にした実験結果など様々な事例や、読者に提示された例文によって示されている。
 なぜそのようなことになってしまうのか。これはシンプルな話で読みが不十分だったり、誤解が生まれたまま読み進めてしまうことに原因があるのだが、もっと踏み込むと「疑問を持たない」ことや「鮮度の低い情報を粗末にする」ことによる。これらは日頃の指導においても心当たりがある。読書をしている生徒をしばらく観察し、その後内容などを聞いてみると、うろ覚えであることが度々ある。そのような生徒に共通するのは「前のページに全く戻っていない」ことである。誰だったっけ、何でそうなったんだっけ、となっていて、ただページを進めているだけなので、「量を求めているわけではないし、必要なら遡ってちゃんと前の出来事を確かめるようにしないと面白くないよ」と注意する。読解問題の丸付け中なども、台詞の発言主を尋ねた際に決め打ちで主人公だと答えることなどもある。そういう時にきちんと意識を本文に持っていくために不可欠なのが我々が行っているような「問い」を投げかけることだと言える。
 書けば書くほど、読めば読むほど考えるわけだから、分からないことがさらに増していくことは何もおかしくない。自分を卑下して、などということではなく、「わかっていないかもしれない」という自覚を持って向き合うからこそ実際に引っかかる部分が出てくるものである。指導する人間としてその意識を持ちながら学び続けるのはもちろんのこと、子どもたちを「わからない」を前向きに受け止めて考えられるように導きたい。

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