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2022.01.11Vol.526 削ることの大切さ

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 ある大学受験生が、願書と共に大学で学びたいことに関するレポートの提出を求められた。事前のチェックをお願いされたのだが、「約612万トン。この数字が何を表しているか分かりますか。」と書き出していた。ちなみに、正解は「日本における1年間の食品ロス(本来食べられるのに廃棄される食品)の量」である。「読む人(大学の先生)によっては、なめてんのか、となるで」と修正を指示した。プレゼンテーションであれば分かる。一方的に話すのを避けるために、そのような問いから始めたり、途中に差し挟んだりすることは往々にしてある。こういう場合は、マイナスの評価を受けるリスクを極力抑えつつ、興味を持ってもらうための工夫をしなければならない。私なら次のように展開する。「約612万トン。日本の1年間の食品ロスの量である。それは世界全体が貧しい国に援助している食料の量の約2倍に相当する。さらに、食べられない分も合わせた日本の食品廃棄物の合計は1,535万トンに上る。輸入食品の重量が3,241万トンであることから、仮に食品廃棄物をゼロにできれば輸入を約半分に減らすことができる。すると、問題視されている食料自給率の低さも大きく改善する。また、これは食料の問題だけに留まらない。生産、輸送に必要なエネルギーも削減できるので、先進諸国が協力して取り組めば地球温暖化の緩和にもつながる。このようなことから、私は大学生活を通して、食料の問題を食料の枠の中だけで考えずにもっと広い視野で捉えるとともに、一方で、食品ロスを減らすためのより効果的な方策を探っていきたい。そのためには、まずは現状を知ることから始めなければならないと考えている。」その他には、漁業における乱獲防止も期待できるため、豊かな海の保全にもつながる、ということを盛り込んでも良かったかもしれない。
 1,772、1,694、1,808、2,219、3,527。これらの数字が何を表しているか分かりますか、とは聞かない。このブログのvol.100, 200, 300, 400, 500の字数である。傾向を見るのであれば、1~100、101~200といった感じで100個ごとの平均を取るのが理想的なのだが、かなりの手間がかかる上に先の5つの数字は3,527(2,500ぐらいが妥当であろう)を除けば悪くない程度に字数の変遷を映し出しているはずである。間違いなく言えるのは、この1, 2年で字数が増えていることである。言い訳をすると、敬愛する辛坊治郎氏のメルマガが5,000字前後だと聞いて、最近はもっと書かなければ、という強迫観念にかられていた。
 昨年聞いた2人のお母様の言葉で自分の中でどうしても消せなかったものがある。「お母さんが先生のブログ見た瞬間、『長っ』って言ってたで」とある生徒が報告してくれた。自分の中ではそれなりに頑張って書き上げた3,500字程度の大作だったので少々へこんだ。もう1つが、「先生の文章って、ブログより内部向け(月に一度生徒の親御様に紙で配布しているもの)の方が面白いですよね」というもの。そのときは何の疑いもなしに、「ブログは誰が読むか分からないので、扱える題材とそうでないものがありますから、その差ですかね」と返した。
 年末年始、「何がアカンねやろ?」、「何でアカンねやろ?」とブログに対する自問自答を繰り返していた。そんなこともあり、元はこの文章のタイトルを「自分の文章と向き合った2週間」としていたぐらいである。答えを見つけられないまま何気なくブログを1つ読んだら「長っ」となった。随分と文章がだらだらとしていたのだ。原因は題材の選び方ではなく、字数の多さにあったのだ。気づけば最近は読み返すことがほとんど無くなっていた。納得の行くものが少なすぎて無意識的に避けていたのだ。そんなものを人に読んでもらおうとするなんて失礼千万な話である。そして、決めた。生徒などの文章をそのまま紹介するときなどを除いては必ず1,800~2,000字に収めることを。ネット記事や本などからの引用分をどう扱うべきかについても検討したが、それも含めた方が良いという結論に達した。そうすれば、ただ張り付けるのではなく、必要に応じて要約をするようになるので読み手により優しいものになるからだ。
 今回、そうやって制限をかけて文章を書いて改めて気づいたことがある。削ることって大事やな、と。「ある大学受験生が」から始まる段落も100字以上は圧縮している。また、これは文章だけではなく、時間の使い方などにも広く通じることである。もちろん、食品ロスに関しても。深く考えなくても足し算はできるが、引き算をしようと思えば工夫が求められる。今年はブログを読み返す機会が増えそうである。

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