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 2か月前に始めた社員のブログ。それには主に2つの目的がありました。1つ目は、単純に文章力を上げること。そして、2つ目が社員それぞれの人となりを感じてとっていただくこと。それらは『志高く』と同様です。これまでXで投稿していたものをHPに掲載することにしました。このタイミングでタイトルを付けることになったこともあり、それにまつわる説明を以下で行ないます。
 先の一文を読み、「行います」ではないのか、となった方もおられるかもしれませんが、「行ないます」も誤りではないのです。それと同様に、「おなじく」にも、「同じく」だけではなく「同く」も無いだろうかと淡い期待を抱いて調べたもののあっさりと打ち砕かれてしまいました。そのようなものが存在すれば韻を踏めることに加えて、字面にも統一感が出るからです。そして決めました。『志同く』とし、「こころざしおなじく」と読んでいただくことを。
 「同じ」という言葉を用いていますが、「まったく同じ」ではありません。むしろ、「まったく同じ」であって欲しくはないのです。航海に例えると、船長である私は、目的地を明確に示さなければなりません。それを踏まえて船員たちはそれぞれの役割を果たすことになるのですが、想定外の事態が発生することがあります。そういうときに、臨機応変に対処できる船員たちであって欲しいというのが私の願いです。それが乗客である生徒や生徒の親御様を目的地まで心地良く運ぶことにつながるからです。『志同く』を通して、彼らが人間的に成長して行ってくれることを期待しています。

2023年12月

2025.11.21社員のビジネス書紹介㉖

三浦のおすすめビジネス書
中野崇 『マーケティングリサーチとデータ分析の基本』 すばる舎

 昔から数字に弱い。数学どころか算数から苦手意識があり、データというものともうまくやれる気がしない。本書は「文系出身のどちらかと言えば数字が苦手な方や、主たる業務がリサーチやデータ分析ではないものの必要になってきた方」向けとあり、そういう私のような人間にもわかりやすく、専門的すぎない入門書として書かれている。
 リサーチ分野では、まずそもそも「何のためにデータを集めるのか」という目的をはっきりとさせなければ、どのようなデータをどのような手法で収集するかを明確にできない、ということが述べられていた。確かにアンケート調査などにおいても、「消費者の何を知りたいか」は「どんな課題を解決したいのか」を考えなければ適切なものは浮かび上がってこない。そしてそのためにも重要なのは仮説を立てることで、上記の「どんな課題を解決したいか」でも、ある程度その課題の原因に対する仮説を立てなければ、アンケートの項目は不明瞭になってしまう。
 また、データ分析に関しては実際の数字やグラフが用いられ、実践的に頭を働かせながら読み解く練習になった。まだ自分の出来としては不十分だが、その中で、データへの苦手意識は、数値を漠然と見てしまっていることに原因があると気づかされた。何と何を比較するべきなのか、まずは何に焦点を当てるべきなのか、どういったデータが信頼できるのか。例えば数社のブランドの認知度と好感度グラフが提示された場合、その好感度のグラフはブランドを認知している人の回答となる。つまり回答している母集団が違うので、ただ見比べるだけでは不十分だ、というようなことだ。言われてみれば当然のことでも、グラフを提示されたときにすぐに気づける自信はない。それを見極めようとすることは、いち消費者としてのデータリテラシーを培うためにも、良い勉強になった。

竹内のおすすめビジネス書
中原淳 『話し合いの作法』 PHPビジネス新書

 学校での学級会、部活でのミーティング、職場での会議、これまでにあらゆる場で「話し合い」を経験してきたが、よくよく考えるとどのように進めていくのかという具体的方法を教わる機会はほとんどなかった。特に学校では、その話が果たして自分に関係あることなのかよく分からず、気付けば決められた答えがそこにあるということも決してゼロではなかった。自分自身がそこに参加しているという実感を持ち、出た結論を他のメンバーと共に背負っているという意識を育むためには、きちんと作法を身につけておかねばならない。
 話し合いには「対話」と「決断」の2つのフェーズがある。各人が今はどちらの段階にあるのかを把握することがまず求められる。そして、前者において必要なのは、まだケリのついていない問題に対するお互いの認識を共有していくことである。それぞれの考えを提示すること、そこにどのようなずれがあるのかを確かめていくこと、そのような丁寧な作業は、「その中のどれかを答えとすればいい」ではなく、「新しい答えを見つけよう」という意識へと発展していく。この場でのファシリテーターの役割は重要で、問いを提示し、そして「間」ができることを恐れずに相手からボールが返ってくることを待つ必要があるのだ。
 もちろん参加者はただその流れに身を任せれば良いわけではない。「決断」の先には「実践」が伴っていなければならい。導き出した結論に自分が関わっているという意識、自発的フォローを全員が行うということを共有し、組織として確かな土壌を作り上げる努力を、皆が自分と、仲間のためにするのだ。

徳野のおすすめビジネス書
大野栄一 『できるリーダーが「1人」のときにやっていること マネジメントの結果は「部下と接する前に決まっている」』 日経BP

 ページをめくりながらまず思ったのは、「大人も子どもも本質はさほど変わらない」ということだ。本作は、部下が仕事にやりがいを感じるために上司自身はどうあるべきか、といういわゆるマネジメント論を扱っている。そして、リーダーとしての「指導」とは、チームのメンバーに「あなたはこれまで、あなた自身に何を教え込んできたのですか?」という問いを発することだ。その対極にあるのが、具体的な指示や助言である。(パワーハラスメントはまず論外。)「こうすれば良いんじゃない?」と教えるのは親身に見えて、あくまで自分にとっての「良い」を押し付ける行為だからだ。著者はそれをするのは、相手の成長に対して無責任であると断じる。
 今更だが、志高塾の国語では正解が一つに絞られない作文をカリキュラムの中心に据えている。自分なりの答えを紡ぎ出さないといけない点において、移ろいゆく現代社会での仕事に通じるものがあると言える。また、「上司」を「講師」に、「部下」を「生徒」に置き換えると、相手の主体性を引き出せるタイプの前者の価値をイメージしやすい。そして、著者の定義する「優れた指導者」とは、何よりまず自発的に内省できる人物である。大小さまざまな困難に直面した際に小手先の解決法に飛びつくのではなく、一人静かな環境で問題の原因を探るのはもちろんのこと、「今の自分は何をどのように考えているか」という風に己に向き合う時間を確保する。客観視を通して内側に潜む「偏見」や「好き嫌い」などの自己中心的な部分の認識に至る。すると、他者のためにもなる言動を自ずと志向するようになるから、良いリーダーとしてのあり方が確立されるのだ。
 本作においては、スティーブ・ジョブズの「Conenecting the dots(点と点をつなげる)」という言葉の引用も印象的だった。「今その時の関心や体験が、知らないうちに自分の未来に繋がっていく」。あくまで現時点での「将来の約に立ちそう」という実利的な基準だけで物事を判断せずに、とにかく興味を持ったことに取り組んだり、教養に触れる機会を作ったりした方が創造的な人生を歩める。そのための時間として読書はうってつけである。

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