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2026.05.29社員のビジネス書紹介㉜

徳野のおすすめビジネス書
ピョートル・フェリクス・グジバチ 『年収が上がるマネジメントの法則 世界の一流は「部下」に何を教えているのか』 クロスメディア・パブリッシング
 
 そもそも「マネジメント」とは何をすることを指すのか。私の場合、そこからのスタートである。芸能人のマネージャーの役割を断片的に見聞きして、業務の内容決定やスケジュール管理をしているイメージを持っていた程度だ。
 筆者曰く、実は上記のような理解の曖昧さこそが我が国のビジネス界の課題であるという。「マネジメント」という概念は欧米由来のものだが、究極的には「同じ組織の仲間を外部でも通用するレベルにまで成長させること」だと定義付けられる。そのためには、特に部下に対しては相手の主体性や判断力を引き出すのが重要となってくるのだが、日本では上司が「細々とした具体的なスキルの伝達」か「感情的な鼓舞」をすることに留まっている場合が多い。年功序列と終身雇用の制度が常識だった頃であればまかり通っていただろうが、昨今においては若手社員の離職の遠因として問題視されるようになっている。時代の変化に対していわゆる中間管理職の人々も危機感を持ってはいてもどう手を打てば良いのかが分からない、というのが現状なのだ。
 では、人材を育てるには何をすれば良いのか。最初にやるべきは「取り組みの目的」を明示することである。その際、各メンバーの働きが組織にもたらす利益だけでなく、プロジェクトを通して一人ひとりが伸ばせる知識・技能についてもやり取りすることが重要になってくる。なぜなら、個人にフォーカスすることで相手に「自分に注目してくれている」という安心感をもたらし、部下が相談事をしたり、自身の抱負を語ったりしやすい土壌が作られるからだ。要は、メンバーに「この人なら信頼できる」と思ってもらえるような振る舞いを心がけなくてはならない。そのためには、上司自身が仕事で成果を出すのは勿論のこと、職場での言動が周囲に与える影響を自覚する必要がある。例えば、会社の制度や上層部への愚痴を後輩や同僚にこぼす人がたまにいる。本人はコミュニケーションの一環のつもりでやっているのだろうが、聞いている側は「陰口を言う人物」という印象を受けて不信感の元になる恐れがある。
 改めて思ったことだが、講師とマネージャーの役割は似ている。両方とも身近な他者の自立(および自律)を手助けするのが使命だ。ただ、研修の最中や終了直後の講師だと自分の指導への自信の無さから、生徒に対して手取足取りのやり取りを展開してしまおうとすることは珍しくない。(かく言う私自身、学生講師だった頃に経験済みだ。)場面に当たった際には、「先生として不安が沢山あるだろうけど、子どもたちの力を信じて考える余地を残してあげてください」と声掛けするようにしている。大人が適切な距離感を保った方が生徒は達成感を覚えやすくなるし、その姿を目の当たりにすれは、講師の中にはやりがいが生まれるからだ。

三浦のおすすめビジネス書
萩原雅裕 『「今日も仕事が終わらなかった」はなぜ起きるのか?』 ダイヤモンド社

 行き当たりばったりで生きている。プライベートでも何でも、計画通りに物事を進めるのが得意ではなく、夏休みの宿題もぎりぎりまで溜め込んで、火事場の馬鹿力(というのもおこがましい)でどうにかしてしまうようなタイプだった。しかし、次第にそれでは済まなくなっていった。時間をかけても思うように進まず、予定通りにはいかないことがほとんどだ。
 本書では、計画を立てる段階と実行する段階を明確に切り分ける、という方法について述べている。「作業に逃げない」という言葉が登場していたが、とにかく手を動かすのではなく、その前にゴールが何かを具体的にし、脳内で一度、仕事が終わるところまでシミュレートしておくことが重要だという。これが「計画」の段階だ。脳内ですら終わらない仕事に手をつけてしまっても、進んでは戻りで、結果的に進みは悪くなる。人はマルチタスクをできるようにはなっていないので、「考える」時間と「手を動かす」時間を行き来すればするほど、効率は下がっていく、というのだ。
 だから初めのうちに徹底的に考えて、「あとは手を動かすだけ」という、作業に集中できる状況を高い精度で作り上げることが、結果的には効率的に仕事を進めるための近道になる。そして作業から離れざるを得ないときには、後の自分への引継ぎをメモでも何でもきちんと行っておけば、そのままの状態で再開することができる。この引継ぎの鍵として、アクション動詞、要するに「実際に手を動かす動詞」を用いることが重要だと述べていた。「〇〇について考える」ではなく、「〇〇に関連する△△について調べて箇条書きでまとめる」といったように、実際になにをすればいいのかが明確になると、考えなければならない時間が減るからだ。このアクション動詞の考え方は、初めの「計画を立てる」段階でも有用だ。ゴールや工程のぼんやりとしたイメージに具体的な形を与える。まさしく手を動かすより先に必要な作業だ。
 本書を読みながら、自分の普段の作業について振り返っていた。文章を書いている時には、書きながらいろいろと考えて、ふと浮かんだ疑問を調べて、そういった「手を動かす」ことと「考える」ことが一体になっているような気もする。これを明確な切り替わりに感じたことはない。書くことと考えることは切っても切り離せないのだろう。

竹内のおすすめビジネス書 
吉岡秀人 『最後の講義完全版 吉岡秀人 人のために生きることは自分のために生きること』 主婦の友社
※苗字の「吉」は、上部が「土」になる「つちよし」です

 本書は、海外での医療支援活動を行うNGO「ジャパンハート」の設立者である岡秀人氏が出演したNHK番組を書籍化したものである。1995年にミャンマーで小児医療に関わり、日本でも小児科に勤務した後、先の組織を立ち上げ一人でも多くの子どもに医療を届ける取り組みを続けている。
 軍事政権であるミャンマーでは国家予算の約1%しか医療費に充てられていないと言われている(日本は2023年時点で23%)。日雇いで得たお金をどうにか集めて遠い病院までやってきて、やっと1回注射を打ってもらえるというケアが珍しくない。それすら叶わないことも当然のようにある。衛生環境の悪さゆえに発育不良で生まれることとなる子どもも多い。救うことのできた命があるのはもちろんだが、力及ばなかった事例はそれ以上にあり、そういう経験をしてきた中で磨かれてきた岡氏の命に対する観念は、未熟な私にはまだすっと入ってこないところもある。
 しかし、小児科医として子どもと向き合うことは、その周りにいる家族を支えることでもあるということについてはその通りだと思った。長くは生きられないことが明らかな時、残された時間をどうやって過ごすことで、たとえ短くてもその日々を「思い出したいもの」にできるのか。死が身近で、当たり前であるかのような環境の中で、「大事な存在だと伝える」ために最後まで力を尽くす。大事なのだと伝えられることは患者のエネルギーになり得るし、すべての人間にとって、大きな安心感になるはずだ。時には忘れてしまいがちなこのことを、きちんと伝えることは、子どもと関わる人間としての責務である。

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