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2024.01.09Vol.622 中学受験の結果が出るとき

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 前回、元生徒と今もつながっていることを嬉しそうにいくつか報告した。それとは別に、大学1回生の元生徒が年末に顔を出し、大学に入ってからのこと、これからのことを話して帰って行った。その内容を聞いて、昨年7月に初めて開催した『beforeとafterの間』のスピーカーをお願いしたところ、快諾してくれた。彼女は、バイオベンチャーを立ち上げることを目指している。夢ではなく、それを目標として既に動き出しているのだ。志高塾の生徒が「いつか自分もあそこで話したい」と思ってもらえるように、今後、5回、10回と回数を重ねて行きたい。もちろん、皆が皆そうなれるわけではないし、そうなる必要もない。それぞれがそれぞれらしく生きて行けるように、その基礎を少しでも志高塾で築いてあげたい。
 年末だったか年始だったか、ふと、「あれ、俺、大谷翔平に勝るとも劣らないんちゃうか」となった。睡眠時間の話である。例年、冬休みから中学受験が終わるまでの1か月弱は、仕事以外の時間はできる限り寝ることに費やす。体調を崩せないのはもちろんのこと、仕事をしているときに100%の力を出し切らないといけないからだ。ほとんどの日は21時前に、早いときは19時台に布団に入るため、夜中に目が覚めて時間を確認すると日付が変わっていないこともよくある。大谷の言葉を借りれば、「睡眠は質より量」なので、それで良いのだ。ただ、仕事のために最大限体力を温存するのが短期間でしかなく、その間もお酒は止められない。それらは、埋めようのない本家との大きな大きな差である。
 ここで、今年の箱根駅伝で下馬評を覆し、見事総合優勝を飾った青山学院大学陸上競技部監督の原晋の記事を紹介する。そう言えば、去年から始めたXだが、投稿しないままに数か月が過ぎている。気になった記事があれば保存していて、「これ紹介しようかな」となることはよくあるのだが、そのことにどれだけの意味があるのだろうか、と二の足を踏んでいる。今回のように、記事と絡めながらある程度のボリュームで話を展開する方が私の性には合っている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/22c370d5a1efd326f02ba373abdfe8a106d4aa22

 スカウトする高校生の保護者に対して、私はこのようなことを必ず伝えます。
 「お子さんをお預かりする以上は、責任を持って陸上の成績が伸びるように全力を尽くします。しかし、あくまでも生身の体で勝負するのが陸上競技です。箱根駅伝に出場して活躍できるかどうかは正直、100%の約束はできません。ただ、社会に出ても恥ずかしくない人として成長させることは約束します」
 大学の4年間はあっという間です。競技生活を終え卒業すると、一部の選手以外は社会人としての生活が始まります。学生を預かる身として責任を感じるのは、競技能力を高める以上に、人として成長させてあげられるかどうか。極端なことを言えば、社会に出て役に立つのは、速く走ることより、組織の中で生きるための人間性です。
 
 さて、第2回のスピーカーをお願いした彼女は、タイプ的にはビリギャルに近いのだろう。ドラマも見ていないし、本も読んでいないのでよく分かっていないのだが、少なくともエリート街道をひた走る第1回のスピーカーの彼とは正反対の道を歩んできた。あれは、5年生の頃だっただろうか。算数の授業で、「150円のボールペンと90円の鉛筆を合わせて15本買い、1590円支払いました。それぞれ何本買いましたか」といった基礎的な問題を1問だけ解いて終わったことがあった。毎回そんな感じだったのだが、そのときはいくらなんでもひどすぎたので、「おい、2時間でたった1問やぞ」といつも以上に怒った。その翌週、2問解き、「今日はこの前の2倍頑張った」と意気揚々と帰って行った。口をあんぐりさせる、とは正にそういうときにぴったりの言葉である。中学受験では、そんな彼女の自由奔放な性格に合っている中高一貫校を本人の意向を踏まえた上で親御様と話し合いながら選んだ。中3の秋に急遽、アメリカにある日本の大学附属の高校に行くと本人が言い出し、お母様から、「先生、お願いします」という言葉と共に、どさっとコピーされた過去問の束を渡された。絶対に合格したい、という本人の意志もあり、3年前の中学受験の頃とは別人のように集中して勉強したおかげで無事に合格した。その1年後、帰国した彼女から教えてもらった1年時の成績がすこぶる良かったので「すごいやん」と褒めると、「先生が言ったんやん」と返って来た。その指摘を受けて、渡米前に、「とにかく最初の1年間頑張らなアカンで。そうすればそこがあなたのポジションになって、そこを譲りたくなくなるから」というようなことを伝えたのを思い出した。中高一貫校に進んだ生徒に対しては特にそうなのだが、最初から飛ばしなさい、という声掛けをすることはほぼ皆無である。小手先の勉強で良い成績を取ることよりも、いろいろな経験を積むことの方が明らかに大事だからだ。もちろん、ある程度のところに付けておく必要はある。彼女は高校の3年間良い成績を取り続けたおかげで、大学に上がるときの学部の選択の幅も広がった。高校時代も長期休みに帰国した際には、毎日のように志高塾に来て、数学の授業を受けていた。学業の面でもそれなりに貢献はできたのだろうが、そんなことよりも、めちゃくちゃ手が掛かった小学生の頃に、そのことを理由に彼女を否定せずに潰さなかったことを私は誇りに思っている。20年近く生きてきて、ある程度人間ができている大学生ですら人間的な部分をきちんと育ててあげなければいけないのに、まだ10歳かそこらの小学生に、とにかく中学受験で良い学校に行けばバラ色の未来が待っているから、と闇雲に勉強をさせて、少しでも偏差値の高い学校に合格させて、後は知りません、なんて無責任なことはできない。
 中学受験の結果が出るのは、その5年後、10年後、もしかするともっと先のことなのかもしれない。その遠い未来を見ようとする塾でありたい。

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