「こちらが話した内容を理解するまでに時間がかかる」
「国語の読解問題で、なんとなく答えを選んでいるように見える」
「読書習慣をつけさせたいが、なかなか読んでくれない」
小学生のお子さまを持つ保護者が、このような悩みを持つことは珍しくありません。
そして、その際に国語力、特に「読解力」が身に着けば、子どもの実生活に役立つのではないかと考えるご家庭も多いでしょう。
しかし、読解力は、単に国語の問題集をこなすことで伸びるものではなく、文章を読んだあと、必要な情報を整理したり、それを自分の言葉にしたりすることで育まれるため、家庭学習で対策しようとすると難しく感じることもあります。
そこで、この記事では、関西で3つの校舎を持つ作文中心の個別指導塾である志高塾が、小学生の読解力が伸びにくい原因から、学年別の国語の勉強法、家庭でできる習慣づくりまで詳しく解説します。
そもそも「読解力」とは?国語力との違いを整理しよう

「読解力」と「国語力」は、同じような意味で使われることがありますが、完全に同じものではありません。
一旦、この記事では、国語力を
- 語彙力
- 論理的思考力
- 表現力
- 読解力
によって形成される力として捉えることとします。
この中で読解力は、文章に書かれている内容を理解し、情報同士の関係や筆者の意図まで読み取る力です。
経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)においても、読解力は単に文字の意味を理解する能力ではなく、文章を「理解し、利用し、評価し、熟考する」力まで含むものとして定義されています。
グローバル化ならびに生成AIの発達が著しい現代では、複数の情報を比較したり、事実と意見を区別したりする場面も多いため、今後ますます重要になる力といえるでしょう。
読解力と語彙力の関係性
小学生の国語力を鍛える際には、まず「読解力」「語彙力」を別々の能力として考えすぎないことが大切です。
たとえば、「戸惑う」という言葉を知らない子が、「突然質問されて、彼は戸惑った」という文を読んでも、その一文だけでは、登場人物の状態を正確に理解するのは難しいでしょう。
一方、直前の文章によってある程度場面が推測できる場合や、自分で「戸惑う」という言葉を使って、「急に先生から当てられて戸惑った」のような文章を書ける子は、この文の意味が理解できているため、「なぜ戸惑ったのか」など次の思考に移れます。
このように、語彙力が身に着けば
語彙が増える
↓
文章を正確に読める
↓
読んだ内容について考えられる
↓
考えたことを自分の言葉で表現する
↓
さらに言葉への理解が深まる
という循環が生まれます。
そのため、志高塾ではその子が見聞きしたことのある「知っている言葉」、を実際に話したり書いたりできる「使える言葉」に転換していくことを重視しています。作文の中で使い方を間違えても、まずはその姿勢を評価します。
どこかで
AI時代において小学生が読解力を伸ばすべき理由
生成AIが急速に普及するなか、「文章をAIが作ってくれるのであれば、これからは国語力がそれほど必要なくなるのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、むしろAIを利用できる環境だからこそ、これからの時代「書かれているものを正しく読み、考える力」は重要になります。
なぜなら、AIが文章を作ってくれたとしても、この情報は本当に正しいのか、求められている答えになっているのか、一面的な考え方になっていないかを判断するのは人間だからです。そこで全てを鵜呑みにしてしまうと、自身が成長する機会を失うだけでなく、周囲からの信頼を失うリスクもあります。
AIが答えを出してくれる時代だからこそ、自分なりの考えを持ち、それとAIの回答や他者の意見を比較し、結論を導き出す過程に価値があります。その土台となる読解力を鍛えるのが早ければ早いほど、将来的にAIに頼るのではなく、AIを使いこなす人財になる可能性が高まるでしょう。
小学生の読解力が伸びにくい3つの原因

「問題集を何冊も解いているのに国語の成績が上がらない」という場合、問題を解く量ではなく、その前段階に原因があることも少なくありません。
ここでは、小学生の読解力が伸びにくい代表的な3つの原因を紹介します。
①本を読む習慣がなく、語彙が育っていない
読解力が不足している1つ目の原因は、触れている言葉の量が少ないことです。
もちろん、「読書をすれば自動的に国語が得意になる」と単純に考えることはできません。しかし、普段から文章に触れている子は、それだけ多様な言葉や表現に出会う機会があります。
例えば、小学生同士の日常会話は、「すごい」「やばい」「楽しかった」といった比較的限られた単語だけでもコミュニケーションが十分成立しますが、本の中で「感心する」「圧倒される」「名残惜しい」というような表現と出会っていれば、たとえ小学生でもより自分の気持ちに即した説明をしようとします。
②文章を「なんとなく」読んでいる
2つ目の原因は、文章を読んではいるものの、情報同士の関係を考えていないケースです。
たとえば説明文で、「しかし」と書かれていても、その前後で何が対比されているかを意識していない。物語文で登場人物が急に黙ったときにも、「なぜ黙ったんだろう」とは考えず、そのまま次の文章へ進んでしまう。
この状態では、文章を最後まで読んでも頭の中に話の流れが残りません。
読解問題において大切なのは、文章を一文字ずつ丁寧に追うことではなく、
今、何について説明しているのか
前の段落とどうつながっているのか
なぜこの具体例が出てきたのか
登場人物の気持ちはどこで変わったのか
などを常に考えながら読むことです。
志高塾が読解問題で重視しているのも、「正解できたか」だけではありません。「本文のここにこう書いてあるから、この答えになる」と説明できるところまで考えさせることで、どのような文章にも太刀打ちできる読解力を磨いていきます。
たとえ答えが合っていても、「なんとなくこれだと思った」のであれば、同じ考え方が次の問題でも通用するとは限らないからです。
また、選択問題の消去法においては「同じ表現が無いから」という理由で、本文に書かれていない表現を不適当だと判断する生徒がいます。
しかしこれも、答えに辿り着くには、本文との照合作業で同じ表現があるかを確かめるのではなく、設問および各選択肢の指す意味を考えなければなりません。
③自分の考えを言葉にする経験が少ない
3つ目の原因は、読んだあとに自分の言葉で説明する機会が少ないことです。
文章を読んだあと、「分かった?」と聞けば、多くの子は「分かった」と答えます。
しかし、
「じゃあ、この話はどんな話だった?」
「なぜこの人は怒ったの?」
「筆者が一番伝えたかったことは?」
と聞くと、途端に言葉が出なくなることは、当教室でもよくあります。これは、「分かったつもり」と「人に説明できるほど理解している状態」の間に差があるからです。
自分の言葉で説明するためには、文章を理解し、重要な部分を選び、順序を整理し、適切な言葉に置き換えなければなりません。
だからこそ、読むだけで終わらず、「話す」「要約する」「書く」ところまで行うことが読解力向上につながります。
③【学年別】小学生の読解力を伸ばす国語の勉強法

小学生の読解力を伸ばすためには、発達段階に合った国語の勉強法を選ぶことも大切です。
低学年から難しい長文読解問題を大量に解かせる必要はありません。
まず言葉に親しみ、次に文章のまとまりを理解し、高学年になったら構造や論理を考える、というように段階を踏んで力を伸ばしていきましょう。
低学年(1・2年生)|読み聞かせで言葉に親しむ

小学1・2年生では、まず「文章を読むこと」を嫌いにさせないようにしましょう。
そこで、特におすすめなのは、読み聞かせです。
本を読み終わったあと、
「この子、どんな気持ちだったと思う?」
「一番面白かったところは?」
「この言葉って、どういう意味かな?」
と軽く会話をするだけでも、子どもの言葉への興味は深まります。
人間がことばを覚え、使えるようになるのは「聞く→話す→読む→書く」の順だといわれており、読み聞かせを通して新たな言葉に出会うと、子どもは耳にした内容から自分の中で想像を広げ、その言葉にイメージを持ち始めるからです。
具体物の名前に始まり抽象的な概念へとわかる語彙が増えれば、自分で本を読み始めるときの土台が広く大きくなります。そのため、子ども自身が本を読めるようになったからといって、読み聞かせをすぐにやめる必要もありません。
一人ではまだ読めない少し難しい物語でも、大人に読んでもらえば内容を楽しめます。子どもの読める文章のレベルより少し先にある言葉や物語に触れられるのも、読み聞かせのメリットです。
中学年(3・4年生)|要約練習で文章の要点をつかむ力を育てる
小学3・4年生頃になると、学校の授業で扱う文章も徐々に長くなります。
ここから意識したいのが、志高塾がカリキュラムの中心に据えている「要約」です。
要約とは、文章をただ短くすることではありません。文章の中から、
絶対に必要な情報
あったほうがよい情報
なくても話が通じる情報
を判断し、内容を組み立て直す作業です。
たとえば物語を要約するのであれば、「誰が」「何をしたのか」をまず整理します。説明文であれば、「何について説明しているか」「結局何を伝えているのか」を確認します。
ここで重要なのは、模範解答と一字一句同じ文章を書かせることではありません。「なぜその情報を残したの?」「設問で聞かれていることは何?」と簡単な問いかけを挟みながら、情報の取捨選択をさせることが大切です。
高学年(5・6年生)|説明文・論説文を読み解く

小学5・6年生になると、抽象的な説明文や論説的な文章にも触れる機会が増えてきます。
この段階では、一文ずつ意味を理解するだけでなく、文章全体の構造を考えます。
たとえば、「しかし」なら逆の内容、「つまり」なら前の内容の言い換え、「たとえば」なら直後に具体例が続く、というように、接続語が本文の中で果たしている役割も考えます。
ただし、接続語に丸を付けること自体を目的にさせないよう注意してください。
問題集を多くこなしている子どもの場合「『しかし』があったからとりあえず線を引いた」というような解き方をするケースも時折見られますが、このような視点に関しては「じゃあ、しかしの前後で何と何が反対になっているの?」と内容まで確認することが重要です。
高学年になるほど、「読解テクニックを覚える」ことではなく、「本文の内容がどのように組み立てられているか」を考える練習へ移行していきましょう。
家庭でできる!読解力アップのための習慣づくり

読解力は、週に一度だけ問題集を解けば伸びるというものではありません。
普段どれだけ言葉に触れ、考え、話しているかも大きく関係するため、家庭では「勉強させる」ことばかり意識せず、言葉を使う機会を増やしてみてください。
毎日の読書習慣をどうやって作るか
読書習慣をつけるために最も避けたいのは、「読書=宿題・ノルマ」にしてしまうことです。
例えば、「毎日30分読みなさい」「この名作を読みなさい」「読み終わったら感想を書きなさい」と条件を増やしすぎると、本を読むこと自体が負担になってしまうことがあります。
まったく本に触れていない子どもの場合、最初は10分程度でも構いません。
また、小説にこだわる必要もなく、動物が好きなら動物の絵本、宇宙が好きなら宇宙の図鑑、野球が好きなら選手の伝記など子ども自身が興味を持っている作品から始めましょう。
重要なのは「その子の学年に合った本か」ではなく、その本を入り口に、子どもの興味がどこまで広がるかです。興味を持って読むからこそ、知らない言葉を知りたくなり、さらに別のことにも関心が向いていきます。
おすすめの本の選び方
上述した通り、読解力を伸ばすための本選びでは、「学年相当」にこだわりすぎないことが大切です。
おすすめなのは、子ども自身が興味を持てることを前提とし、本文に少しだけ難しい言葉が含まれているような本です。難しすぎれば内容そのものを楽しめず、「読書=分からないもの・面倒なもの」というイメージがついてしまうからです。
また、同じジャンルだけを読み続けている場合には、少しずつ別の分野へ広げるのもよいでしょう。
恐竜が好きな子なら、恐竜図鑑から地球の歴史へ。
スポーツが好きなら、選手の伝記から海外文化へ。
というように、最初の興味を起点に範囲を広げ、子どもが次の一冊を手に取りたくなる流れを作ることを意識してみてください。
親子の会話が語彙力と表現力を育てる
家庭でできる国語学習として、特別な教材以上に大切にしたいのが親子の会話です。
特に、「今日学校どうだった?」「普通」というやりとりだけで終わってしまう家庭は、まずはその会話をもう少し具体的にしていくところからスタートしてください。
たとえば、親が投げかける質問を
「今日一番面白かったことは?」
「どうして面白かったの?」
「もし~だったらどうすると思う?」
というような声かけに変えるだけでも、子どもは経験や考えを頭の中で整理して言葉にするかもしれません。
同時に、子どもにわかりやすく伝えようとするあまり、大人がすぐ簡単な言葉へ言い換えることも控えるべきです。たとえ我が子が知らない言葉であったとしても「『慎重』っていうのは、失敗しないようによく考えて行動するってことね」というように、新しい言葉を会話の中で説明してあげれば、自然に語彙を増やせるでしょう。
志高塾で扱っている教材3選

志高塾では、いきなり難しい読解問題から始めるのではなく、子どもの力に応じて要約作文から段階的に学習を進めます。
ここでは、実際に教室で扱っている教材の中から3つ紹介します。
要約:『かがくなぜどうして』
偕成社から刊行されている『かがくなぜどうして』は、志高塾の要約作文で使用している説明文教材です。
志高塾では、この教材を通して科学的な事象の因果関係をつかむことを目指しています。
説明文を理解するうえで非常に重要なのが、「なぜそうなるのか」という原因と結果の関係だからです。
なお、この教材の要約では、本文を80字程度にそのまま短くするだけではなく、「記述時には本文を見ない」というルールもあります。本文の内容が理解できていれば、因果関係を自分で組み立て直せるようになります。
要約・読解問題:『小さな町の風景』
『小さな町の風景』(杉 みき子 著、佐藤忠良 絵)は、志高塾の要約作文で使用している物語文教材の一つです。
この教材では主に、複雑な心情変化を捉えることを目標にしています。
小学校高学年以降になるとテストで出題される物語文で「悲しかった」「うれしかった」というような直接的な心情表現が描かれていることはほとんどありません。
読解問題の大半は、登場人物の行動や会話、周囲の景色などから、
「最初はどのような気持ちだったのか」
「何がきっかけで変わったのか」
「最後にはどのような状態になったのか」
を読み取ることを求められるようになります。
そのため、本文を読んで終わるのではなく、この教材では
読む→心情を考える→必要な情報を選ぶ→言葉にする
まで行うことによって、より複雑な読解問題にもつながる力を育てます。
読解問題:『トップクラス』
読解問題では、『トップクラス問題集 国語』も活用します。
『トップクラス問題集 国語』は株式会社文理から刊行されている小学生向けの問題集で、標準レベルからハイクラス、トップクラスへと段階的に難度が上がる構成です。
ただし、志高塾で大切にしているのは、「難しい問題を解けたか」だけではありません。
選択肢問題なら、「なぜこの選択肢を選んだの?」「ほかの選択肢はどこが違う?」と確認します。記述問題であれば、「模範解答と同じか」ではなく、「必要な内容を理解し、自分の言葉で説明できているか」を見ます。
問題集は、○と×を増やすためだけのものではありません。子どもがどのように文章を読み、どこで考え違いをしたのかを見つける教材として活用することが重要です。
小学生の読解力を伸ばしたい場合は志高塾へ

小学生の読解力を伸ばしたいと考えると、つい、「どの問題集がおすすめなのか」「読解問題を毎日何問解けばよいのか」といった方法に目が向きます。
もちろん教材選びや問題演習も大切ですが、本質的な読解力は、それだけで育つものではありません。
本を読み、知らない言葉に出会う。「これはどういう意味だろう」と考える。読んだ内容を人に説明する。こうした小さな経験の積み重ねが、読解力につながっていきます。
「国語が苦手だから読解問題をもっと解かせよう」と考える前に、まずはお子さまがどれだけ言葉に触れ、考えたことを言葉にする経験をしているかを振り返ってみてください。
志高塾では小学1年生から高校3年生まで、一人ひとりに合わせた指導で、中学受験はもちろん、将来にも役立つ「本質的な国語力」の定着を目指しています。
無料の体験授業では、お子さまに要約作文に取り組んでもらい、保護者の方には現在のお悩みや今後の学習方針について伺わせていただきますので、ご希望の方はぜひ下記よりお問い合わせください。









