
2017.02.14Vol.289 謝ってすぐ許したらまた誤る
本番まで2週間を切っていた。小6の受験生が何度か注意したにも関わらず休憩時間が終わっても相変わらずふざけていたから帰らせた。そのようなとき、ほとんどすべての子供は謝って、いかにも反省していますという顔をしながら、そのまま勉強を続けようとする。それまでにどこかでそのように振る舞えば許されてきたのだ。
小5の頃、少年野球チームで1人6年生に混じってレギュラーになった(つまらない自慢です)。間違いなく調子に乗っていたのだろう。練習後、グランドを回って皆でボールを探す時、何気なく「めんどくせぇ」と口にした。それが近くにいた監督の耳に入ってしまい「おまえより、ボール1個の方が大事じゃ!」と鬼の形相で叱責された。日頃は温厚な人であったので、それ以外でそのような叱られ方をした記憶はない。以後二度と私がそのようなことを口にしなかったのはもちろんのこと、ボールを探す時の姿勢も変わった。私は、元プロ野球選手であったその監督が好きであったし、認められたかったのだ。
子供は怒られることをするものである。そして、大人に怒られながら学んでいく。ちゃんと怒られれば正しく学び、おかしな怒られ方をすれば間違えた対処法を身に付ける。それだけに大人には覚悟が必要で、また、子供を適切に叱るという責務がある。「何度同じことを言われてるの」はきっと「何度同じ叱り方してるの」の裏返しなのだろう。
先週、プールに行く直前になっても年長の二男がふざけて準備をしていなかったので、妻が「もう行かなくていい。ひとりで留守番してなさい」と言い放った。二男は泣きながら謝って「行く」を連呼していたが「アカン。お母さんがそう決めたから留守番」と伝えた。私の発言に一番驚いていたのは妻である。本気でそうさせる気はなかったからだ。ちょっとした用事で15分、30分ぐらいであれば家で待たせたことはあったものの、1時間を超えたことはないから心配になったのだ。妻は日頃、子供達が言うことを聞かない、ともらしているのだが、私に言わせれば、そういうことを繰り返していたらそうなって当然である。言ったらやる、やらないなら言わない。単純なことである。
年少の三男がおかしを食べて、夜ご飯が進まずだらだらしていたので、半月ほどおかしを禁止にした。二男の誕生日の時のケーキも一人だけ食べさせなかった。また、週に1回お願いしている延長保育でおかしが出されるのだが、それも断るようにと本人にその日の朝何度も言い聞かせた。先生からはラムネぐらいはいいんじゃない、と勧められたらしいのだが、「お父さんに言われているから食べない」と断固として口にしなかった、ということを「かわいかったですよぉ」と笑いながら先生が私に報告してくれた。私はそういうとき、大いに褒める。
先の6年生は翌朝、授業の始まる30分前の8時半ぐらいに「今日は行かせてもらってもいいでしょうか」と電話してきた。「ちゃんとやるんならな」と返した。後でお母様から聞いたのだが「先生は許してくれないから、もう行きたくない」と電話するのを拒んでいたとのこと。「情けない男ですねぇ」とお母様とは話した。よく考えたら、当たり前のようにダメなことをダメと注意できるのも親御様の理解があってのことである。もし「普段はあれですけど、さすがに入試直前は許してあげてくれませんか」などと言う親であれば、余計なことにたくさん気を使わなければならない。
昨日、自習時間に5年生の男の子が話していたので、来週は自習に来なくていいと伝えた。昨日だけのことではなく、最近ダラダラしているのが気になっていたから、ちょうどいい機会だと思っている。大事なのは怒られないようにすることではなく、怒られた後にどのように振舞うか、どう態度を改めるかということである。