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2019.02.12Vol.386 それなり、それほど

 「十人十色」は、成功裏に終わった。お話しいただいたお母様方、参加された親御様方のおかげである。私自身が、このように感謝の気持ちを言葉で表現することは少ない。それは、形式的なものを必要以上に嫌うからである。謝罪のそれに関しても同様である。たとえば、「申し訳ございません」という言葉。これは、過去のことではなく、未来のことに対して用いられるべきだ、というのがある。「~して申し訳ございません」ではなく「申し訳ございません。2度と同じことはしません」であるべき、ということだ。世の中では前者が圧倒的に多い。口先だけで謝り、また同じことを繰り返す。過去と未来の両方を含んでいるのがベストであるが、少なくとも未来を含むことなしに、その言葉は使われるべきではない。このようなややこしいことを考えている私でも、あの場では心の底から「ありがたい」と感じた。ひらがな表記だと偉そうな感じを与えるかもしれないが、「有り(在り)難い」という漢字交じりのそれである。
 「十人十色」とは、この春中学受験を終えた親御様に、その体験談を語っていただく場である。昨日は5名のお母様に各20分ずつ程度お話しいただいた(内1名のお母様は出席できなかったため、事前に手紙を用意してくださった)。参加していただく対象が、内部生の親御様とそのご友人なので、宣伝目的ではない。その会の一番の目的は、いろいろな受験の仕方があるということを知っていただく、ということ。進学塾では「このやり方をしないとうまく行きません」というような説明を受ける。我が子には合っていない、と直感しながらも、言われたことをこなしていればいつか光が射すと信じ、中には暗闇の中を歩き続けることになる親子もいる。当然ながらそれはとても辛いことである。我々の役割は、皆を同じ方向に進ませるのではなく、その子自身の行き先、光源がどこにあるかを見極め、それぞれの道を歩ませることである。歩くのは子供自身であり、我々が手を引っ張るわけではない。親の役割は駅伝の監督のようなものであろうか。伴走車から声を掛けることしかできない。この冬も2度ほど、怪我をしたランナーがたすきを次につなげるために走る続けることが美談として語られることの是非がニュースになった。引退試合であればまだしも、彼らには未来がある。走り続けることが競技生活において致命傷になるのであれば、監督がストップをしなければならない。しかし、ランナーは、チームメイトに迷惑をかけないために走り続けることを選択しがちである。子供は、親が何を期待しているかを鋭く感じ取り、それに応えようと頑張る。去年、話していただいたあるお母様は、受験をしない選択をされ、その結論に至るまでの経緯を伝えていただいた。伴走車の中で、夫婦で侃々諤々の議論をされ、苦しそうに走っていた彼に勇気を持ってストップを掛けたのだ。現在中1になった彼の歩んでいる道は、1年前と比べて随分と明るくなっている。
 3つの学校を受験しすべて不合格になり、公立中学に進むことになった女の子のお父様にも去年、登壇いただいた。そのタイミングで志高塾を卒業することになったのだが、「何かあればいつでもおっしゃってください。力になれなかった分、今度はお役に立てるようにします」と伝えていた。昨日、予告もなしにひょっこりとお母様が現れ、「助けてください」という話になった。お話するのは1年ぶりである。さあて、いっちょ頑張るか、といった感じである。
 去年と今年参加された方は、5名ずつ話を聞いたことになるので、正に「十人十色」というのを実感していただけたはずである。志高塾としても、私個人としても過分に誉めていただいた。他の塾と比べて「それなりに良い塾だ」という自負はある。ただ、それほど良い塾ではない。今は、体験授業をストップしている影響などにより、「良い塾だ」というイメージが先行している。「それほどではない」というのは大したことない、ではなく、外部の親が見て多くの期待を寄せるほどではない、ということである。つまり、「それなりではあるが、それほどではない」のだ。
 前回「メソッドとスタイル」というテーマで文章を書いた。昨日、身に余る評価をいただいたわけであるが、よくよく振り返ってみると、教え方に関するものは皆無であった。志高塾は丁寧に指導してくれる、というスタイルに関するものばかりであった。そのスタイルに関しては「それなりではなく、それほどだ」と自信を持って言える。今後も胸を張り続けられるようにすることが、より自信満々になれるような組織にしていくことが、私の役割である。

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