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2019.01.08Vol.381 ボーダー

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 冬休みに入って、ある6年生の男の子を2回途中で帰らせた。午前の自習中に話しているのを私が見つけ、40分間の昼休みを10分短縮して席に付いておくように指示していたものの、その時間を3分ほど過ぎてもふざけていたから、というのが1回目。2回目は、私が帰った後、他の講師の時に調子に乗って騒いでいたというのを翌日他の生徒達から聞いたから。
 生徒達に対して「人によって態度を変えてはいけない」、正確には「俺の前ではふざけてもいい。ただ、俺の前でできないことを他の先生に対してするな」と日頃から伝えている。わざわざそのような注意をするぐらいだから、通常変えてしまうものなのだ。この時期、弁当の時間でも静かにしてないといけない進学塾もあるらしい。大人数を統制するのにはそういうものが必要だというのは分からないでもない。だが、私は単純にそういうものが好きではない。ずっとオンの状態というのは非効率この上ない。
 ただ、ある程度自由にさせていただけるのも親御様の理解があってのことだ。もし「受験前だから、許してもらえないでしょうか?」などと言われてしまえば、私は余計なことに気を配らなければならなくなる。私に言わせれば受験前だからこそ重要なのだ。話が飛躍しすぎかもしれないが、上のような受験勉強を経験した子供たちが将来、「頑張る」の意味を間違える大人になるのではないだろうか。効果を最大化するために、どこにどのようにエネルギーを注ぐかを考え、それを実践する。思ったようにいかなければ修正をして結果を出し切る。「頑張ったけどできませんでした」という人の「頑張る」は取り掛かる前にできないことを想定している。予定している、と言い換えてもいいかもしれない。だからこそ「頑張る」のだ。頑張っているように見せるのだ。頑張ってもできないことに挑戦している人など、世の中に3%もいない。もちろん、私は97%の側にいる。仮に、本当に頑張って何かを達成できなければ、その人は「頑張ったけど」という言葉を吐かないはずである。イチローや羽生結弦がそんなコメントをしているところは想像できない。
 タイトルの「ボーダー」というのは「境界(線)」という意味である。私は、子供たちにはその境界線を自分で引ける人になって欲しい。上の話で言えば、オンとオフの間に明確に線を引く。これからの時代はそういうことがより一層求められるようになる。我々が子供の頃はテレビゲームと言うのは、正にテレビの前で行うものであった。外に出てしまえば、やりようがないので自然とオフになったのだが、今は違う。持ち歩けてしまうのだ。最近は中学生になるとスマホを持つが、私の頃は大学生になると携帯を持つ、というのがスタンダードであった。ほとんどの友人が1回生のときに持っていたが、私は1年ぐらい遅らせて確か2回生であった。理由は単純で人につかまりたくなかったから。私はみんなの番号を知っていて、当時は公衆電話もあちこちにあったから、こちらが呼び出したいときに困ることはなかった。中学生の頃、定期試験の前などは図書館の自習室で勉強をしていた。人と行くのは好きではなかった。自分のタイミングと違うときに、休憩しようと誘われたりするからだ。そこまで意志が強くなかったので、甘い誘惑に負けてしまうことも少なくなかった。そうなると「もう一度勉強しよう」とは中々なれないのだ。一緒に行くと線をうまく引けないから、「一人で行く」と「友達と行く」との間に線を引いた。
 私が「ファイルの法則」と名付けたものがある。中高一貫に通い学校帰りに直接塾に来る生徒に関するものなのだが、難関校に通いカバンにいろいろなテキストを詰めた、つまりカバンが重い生徒の方が、教室で使っているファイルをちゃんと持ってくるのだ。そのファイルにはその日教室で書き上げた作文を挟むことが主な目的なので、無くても授業自体はできる。彼らは要領がいいはずなので、彼らこそファイルを持ってこない、と言う方が私にはしっくりとくる。その理由ははっきりと分からないのだが、私が思うにこうである。彼らは、いちいち「これを持って行く必要があるかどうか」というところに無駄にエネルギーを割かない。使うかもしれないものをカバンに入れておき、臨機応変に対応できる状態を作っているのだ。一方で、持ってこない生徒は「楽か」、「楽でないか」の間に線を引く。できる限り楽をしようとする。「要領が良い」のではなく単に「手抜き」なのだ。仮にAというテキストをやる予定で自習に行く。予想より快調に進んでもBを持って来ていないので、それ以上やることがなくなってしまう。また、Aをやらないといけないのだが、どうしても気分が進まない。テスト期間中なのでやることが山積みの時には遊ぶわけにもいかない。そんなときCの勉強をして気分転換をはかればいいのだが、それがないので気乗りしないままAを続ける。
 私は、オンとオフの間にそれなりに線を引ける。ただ、悲しいかなオンの状態が長くない。適切な場所に私より濃い線を引いた上で、かつオンの状態をより持続できるような人になることを生徒達には望む。

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