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2018.12.04Vol.377 意外とね、結構ね

 「先生は、自己責任やと思う?」。中1の男の子が私に尋ねてきた。安田純平氏の話である。質問に答える前に、いろいろ言われている中でどの説の可能性が一番高いと考えているかを、理由を添えて簡単に説明した上で、次のような話をした。「ちょうど、この数日間それについて考えててんけど、そもそも言葉の使われ方がおかしい。今回の件に関して、俺は、日本政府はお金を払っていないという考えを支持している。仮に払っていたとしても、それを他の人が『自己責任だ』ととやかく言うものではない。その場合、税金が使われることになるので当事者だ、というのもあるかもしれないが。本来、自己責任と言うのは、何かうまく行かないことがあったときに、それを誰かのせいにせず自分の責任だ、と受け止める。そうすることで、それを糧として成長することができる。そういうことのために使うべき言葉だ」と。「私が彼の自己紹介をします」とは言わない。その場合は「彼を紹介します」となるのが普通で、あえて言葉を当てるのであれば「彼の他己紹介をします」となるのではないだろうか。「自己」というのは、字の組み合わせの通り、自らのこと己のことに限って用いるべきなのだ。
 先日、元生徒の5年生の女の子のお母様から「先生、また戻りたいんですけど」という話をいただいた。実は、彼女は過去に3回休塾しているのだ。私はそれをお断りした。回数の問題ではない。前回休みに入るときは、学校の友達とあまりうまく行っていないこともあり、習い事を全部やめさせます、という話であった。そのとき、私の中で「進学塾はやめさせないんだろうな」というのがあった。そのときにそんなことは言わなかったが、今回当時私がどのように考えていたかは正直に伝えた。もし、本当にその問題を解決するのであれば、それこそ志高塾でやっている言葉で考えるというのが役立つのではないだろうか、というのがあった。やはり、進学塾はやめなかったとのこと。その理由が「本人がやめたくないと言ったので」ということだったのだが、「それはずるいです。結局、親としてやめさせるのが怖かったから、それを受け入れたのです」と返した。そのお母様を恨んでいるわけでもなく、腹を立てているわけでもない。だから「将来のために志高塾に通わせる、と思っていただけるのであれば、中学受験が終わってから来てください。その時はウェルカムです。」と私の考えを述べて電話を切った。もちろん、それは嘘偽りのない本心である。
 3, 4年前だろうか。中学受験生が多かった時に6年生の募集だけを締め切った。そのときも紹介だけは受け入れられる枠だけは残していたので、余裕がなかったわけではない。紹介ではなかったのだが「受験をしないので6年生だけど入れてもらえないか。公立の中学校に行った時のために基礎的な力をつけてあげたい」という話があった。迷った挙句、それであれば、ということで体験授業をして入塾の運びとなった。その数か月後、急に受験をすることになりました、と伝えられ、我々は対策をすることに。基礎が十分でなかったのだが、受験のためには応用問題にも対応する必要があり、正直かなり苦しかった。時間があまりにもなさ過ぎたのだ。やはり結果は不合格であった。そして、受験後退塾することになった。一体、我々は何を求められていたのであろうか。もちろん、人間だから途中で考えが変わることがある。一度口にしたことを守らないといけないわけではない。ただ、私にはそういうものは意外にこたえる。偉そうにしている奴ほど小心者だし、いかつい風貌の奴ほど傷つきやすいのだ。
 「高校3年生の卒業まで通わせます」とおっしゃっていただいていたのだが、小1から来てくれていた女の子が中3の夏休みを前に退塾になった。それまでは集団授業が嫌いで志高塾だけだったのが、初めて本人が「他の塾に行きたい」と言い出したのだ。本人の考えが変わったことに成長を感じ、嬉しかった。高校受験が終わってから親子であいさつも来てくれた。今、高1のその子は、今年の夏休み、社会人に仕事に関するインタビューをする、という課題が学校から出され、私を選んでくれた。明らかな人選ミスである。夏期講習はそれなりに忙しかったのが、喜んで引き受けた。まあ、俺みたいないい加減な仕事の仕方は他の人と違いすぎて何の参考にもならへんで、と事前に伝えてはいた。長い付き合いなので、彼女自身そのことをよく知っていた。本人に直接話したかどうかは忘れてしまったが、大学に入学したら講師として戻ってきて欲しいとも考えている。今も、大学入学まで、とおっしゃってくださる方が数名いる。「先は長いですねぇ」と話しているのだが、もし、彼らが「志高塾では習うことがなくなった」と途中で卒業して行っても「そうか。そこまで来たか。次のところで頑張れ」と喜んでさようならをする。
 先日、小1から通い中学受験後に志高塾を卒業した中1の男の子のお母様が半年ぶりぐらいに私を訪ねてきてくれた。お子様の話とは全然関係のない要件であったのだが、30分ほど入学後の話などを楽しく聞かせていただいた。親御様と密にコミュニケーションを取るぞ、などと意気込むことはないし、むしろある程度距離を取るようにしている。離れているのが心地いい人もいるからだ。何かあれば親御様の方から近寄ってきてくださるので、そのときに距離間の修正を行えばいい。
 事がうまく運べば喜びを感じられる。そうでなければ時に辛い思いをすることになるが、自己責任だと捉えればその分だけ前に進める。自分の心がけ次第ですべてを自分のエネルギーに変換できる。闇雲に真正面からぶつかればいいわけではないので、タイミングや強さに対する配慮は不可欠である。ただ、常に真正面を向いている人でありたい。

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