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2019.10.01Vol.416 太筋の光明

「先生、今、算数の先生って募集されていますか?」
「めちゃくちゃ探しています」
「じゃあ、今から(下の子を教室まで)送って行くときに一緒に連れて行きますから、お話を聞かせていただけますでしょうか」
「是非!」
 二男は中学受験の際に教え、三番目の子である中2の長女は今も通ってくれているが、長男のことは話を聞くだけで会ったことはなかった。一浪して今春、めでたく阪大医学部に合格したことは知っていた。そして、我が長男の家庭教師をお願いすることに。
 「そして」の部分について丁寧に説明する。まず志高塾での雇用条件について話した。阪大医学部生がアルバイトの講師をしたときの平均的な時給と比べると志高塾のそれは安い。サッカー部に所属しながらなので時間的に制約があるため、一般的な塾では働きづらい(我々のところでは、週2回以上、などの条件もなく、ある程度時間的な融通は利かせられる)。それ相応の条件で教育系に限れば、ほぼ家庭教師しかなくなるのだが、それについては「大変な親に当たる可能性が低くないから、そうなったら大変やで。ここの親御様は理解あるから教えることだけに専念できる。そこは圧倒的に違う。そもそも、あなたのお父さんとお母さんがそうやからな。普通、3つの学校にすべて落ちたら、(教えた側は)めちゃくちゃ文句言われるで」と話した。遡ること1年半、長女の中学受験において我々はうまく導いてあげられなかった。それにも関わらず、私はお父様に「『十人十色(主に中学受験を体験した親御様に経験談を語っていただく場)』でお話ししていただけないでしょうか」と厚かましくもお願いした。そして、私の大きな期待をも見事に超えるお話をしていただいた。感謝しかない。
 私の長男の教育に関してここでも何度か触れたが、改めて説明させていただく。なお、ブログを読んでくださっているある親御様から「またお子様のことも書いてくださいね」というお言葉を最近いただいたことも、今回のテーマ設定と関係している。
 長男に限らず、息子達には将来、創れる人になって欲しいというのが父としての願いである。そのためには、創りたい何かを持っていなければならない。そのように考えると、創りたいものを持てる人になって欲しい、という方が正確かもしれない。学歴は、それをするに足るだけのものがあれば十分である。学歴が高くて困ることはないが、そのために可能な限り手を打とうとはまったく思わない。医学部を除けば、東大や京大に行くだけであればそこまで勉強しなくていい、というのが私の考えである。我が息子達は3人ともそのようなところには行けない可能性は高いが、それは私がたくさん勉強をさせなかったからではない。能力が足りなかったからか、勉強をしたいと思えるように導いてあげられなかったからか、もしくはその両方のいずれかである。
 長男は、1年生の頃からZ会の通信添削をやっている。4年生から通常コースと受験コースの2つに分かれるため、「どうせなら難しい方にチャレンジしたら」と、よくある本人の意思を確かめているようで親の考えを押し付ける形で後者を選ばせた。国語に関しては、豊中校ができた3年生の頃から通わせているので、算、理、社の3教科である。算数はまったくついて行けず、一度怒ったにも関わらず、解答を写していることが再度発覚した時点で止めさせた。通常コースに変更して続ける方法もあったが、今は時期じゃない、と判断し、それもせずに理、社だけに。理科と社会の点数が取れることではなく、それらの教科で扱う内容に興味を持てるような人にしてあげることは、創りたいものを持てる人につながると考えているからだ。新5年生になったタイミングで受験コースの算数を再開した。きっとここまでは書いた。以前よりも粘り強く考えられるようになったものの、夏休みの前の時点で2か月遅れになっていた。「夏休みに取り戻しなよ」と伝えていたのだが、逆に少し差が開いてしまった。9月になり、その現状を踏まえて「これから毎朝早く起きて、30分でも俺が教えるか」と唯一現状を打破できる方策について想像してみたが「絶対無理」となり、「やっぱり自分でどうにかしてもらうしかないか」と結論付けたところで冒頭の話になった。不思議な縁、と言うが、実際は、不思議なものを「縁」と呼んでいるのだろう。
 話は前後するが、春の時点で「どうせやるんやったら目標持った方がいいから中学受験するか」と、これまた親の押し付けで、池附を受けさせることにした。一択である。理由は「家から30分ぐらいで行けること」、「問題が難しくないこと」、「国立なので学費が安いこと」の3つ。そもそも私立に行かせるお金はない。旅行とかにも行かずに切り詰めればどうにかなるのかもしれないが、そんな気はさらさらない。もし、この前のヨーロッパ旅行に行かなければ、当然その分のお金は浮き、しかも、仕事がないので約2週間長男にみっちり勉強を教えられた。そうすると、2か月遅れ解消の目途も立ったかもしれない。しかし、その場合、休み明けに「さあ、仕事やるぞぉ」とは絶対にならなかったし、私がそこで体験したことを生徒たちに話してあげることもできない(それを聞きたい生徒がいるかどうかはここでは脇に置いておく)。次に、問題が難しくないこと、であるが、偏差値と問題の難易度が比例する訳ではない。たとえば、同じ偏差値でも、問題は難しくないから合格ラインが8割というのと難しいから6割というパターンがあったりする。池附は前者なのだ。後者の場合、基礎を押さえた上で、ある程度応用問題の分量も必要とされるが、それをさせられる自信は私にはない。
 お願いすることが決まった際、「結果出してもらえなかったら、もうめちゃくちゃ責任追及しますから」とお母様に伝えたら、「(私たち夫婦はすべて不合格でも何も言わなかったのに)うそでしょ」と返ってきたので「いえ、本当です」と念を押しておいた。
 ちなみに、昨日が初めての授業だったのだが、帰宅後「どうや、良い先生やったやろ?」と尋ねると、嬉しそうにうなずいていた。「お父さんが連れてきた先生やから間違いない」とそれすらも自分の手柄にしておいた。

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