
2019.03.12Vol.390 どんな鶏肉がお好みですか?
「うおっ、すげぇー」
周りに人がいたにも関わらず大声を上げてしまった。土曜の昼時、月に1回の業務スーパーの特売日の人だかりが私の声をかき消した。大阪大学の歯学部を受験した生徒からの連絡を受けての話である。合格発表までの間にこちらからどのようなできであったかを聞くことはないのだが、下の子の振替の電話をいただいた際にお母様に「ところで、お姉ちゃんどうでした?」と尋ね「数学がいつもより全然できなかったらしいです」と報告を受けていた。さすがに難しいか、というのがあったのでそのような反応になった。私にとってその合格はダブルの意味で嬉しかった。「合格したら算数(数学)の先生として働いてな」とお願いしていたからだ。もし前期が不合格であれば、広島大学を受験予定であった。翌日、東大理Ⅰに合格したとの電話を受けた際は、運転中であり一人だったのだが「おー良かったねー」と落ち着いた返答になった。その男の子がよく頑張っていたのを知っていたので、安堵感からそのようになったのだろう。そうだ、あの娘についても触れておかなければ。大和大学保健医療学部に進学する生徒である。お母様が志高塾を好きでいてくださって、本当であれば大学に進んでからも通わせたい、とあいさつにお越しになった際におっしゃっていただいた。他の塾は「やる気がないならやめなさい」と何度か退塾させていたのだが、志高塾だけはどんなことがあっても通わせ続けてくださった。別れを寂しがっていただいたので、何かあれば気軽にご連絡ください、とお伝えした。当の本人は「センセー、私に週に2回ぐらいは会いたいやろぉ。コピー係として雇ってー」と訳の分からないことを言っていたので「うーん、年に1回ぐらいがちょうどいいかな」と丁重にお断りした。もう1人大学受験をした生徒がいるのだが、まだ連絡を受けていないので少なくとも前期は駄目だったのかもしれない。このブログでも何度か作文を紹介したことがある男の子で私なんかより断然優秀なので心配はしてない。東大に合格した生徒は、浪人してもう1年というのは精神的に少し厳しいな、というのがあったが、彼の場合は大して受験勉強をしていないので1年間しっかりと勉強すればいい。やりさえすれば第1志望の一橋大学にはきちんと合格できるはずである。
登場した順番に授業を受けた最終月(在籍期間)を示せば次のようになる。1月(3年4か月)、2月(1年3か月)、12月(5年3か月)、9月(4年3か月)。全員高3まで通っていたので、たとえば「1月」というのは「高3の1月」、つまりセンター試験までを意味している。
昨日、お問い合わせをいただいた公立中学1年生の親御様が「受験専門塾ではないとは分かっているのですが、やはり受験のことは気になります」とおっしゃっていた。ここでも再三再四述べていることだが、我々は受験結果をかなり気にしている。ただ、大学受験で言えば国語だけ、しかも現代文だけであったり、生徒によっては作文しかしていなかったりと直接点数につながる部分は非常に少ない。それゆえ「~大学に合格させました」なんて嘘は付けないし、そんなことをアピールするために生徒たちと接しているわけではない。東大に合格した彼は小学生の頃にも1年9か月通塾しているので通算すると3年となる。今年に限れば、大学受験に臨んだ生徒4人はすべて3年以上通ったことになる。
狭いゲージに詰め込まれ、ストレスによってつつき合わないように嘴をカットされ、ブクブクと太らされて4, 50日で出荷されるブロイラー。それに対して、地鶏は3倍の150日ぐらいをかけてじっくりと育てられる。我々は、時間をかけてその先につながる力を付けようとしている。その時間に価値があると考えられた親御様がお子様を志高塾に通わせる。そして、期待に応えるべく、期待を超えるべく我々はやれるだけのことをやる。真の結果が出るのが、大学受験よりも後であればあるほど私は幸せを感じる。