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2017.10.02Vol.320  転ばずに済んだかな?

 私は、親御様に進学塾の保護者会のようなものには極力行かないことを勧める。理由は2つ。1つ目は焦らされるだけだから。5年生の夏期講習前の説明会に行くと、「5年生の夏休みが勝負です」と言われる。そして1年後、「6年生の夏休みが勝負です」となる。後2ヶ月もすれば「6年生の冬休みが勝負です」となる。そこでの話を鵜呑みにすると、あれもこれもと講座を取り、塾で拘束される時間は長く、たくさんの宿題に追われ、それだけ長時間勉強して結局何が身に付いたかわからない、ということは往々にしてある。2つ目は私の経験則による。そういうところに顔を出さない親御様の子供の成績が概して良いからだ。だからと言って、成績が伸びない子の親がそれまで足繁く通っていた保護者会に行かなくなったら成績が上がるわけではない、というのは当然のことである。なぜ行かないか、というのが大事だからだ。
 そのような場で語られることでも、母親同士で交わされることでも、「早く」、「たくさん」という類の言葉が入っている話は信じない方がいい。そのことも時々親御様に伝える。それと同様に、「天声人語を読みなさい(写しなさい、要約しなさい)」などという国語の先生の話は大抵信用に値しない。その一事だけで判断はできないが。我ながら意外とうまく話を転じられた気がする。
 天声人語は、起承転結というスタイルを取ることが多く、中でも「転」が肝である。それゆえ、私は冒頭の話を読み進めながら、「これはどこにつながるのか?」ということを考える。「転」がうまい文章は多くの場合まとまりがあるが、そこで転んでしまうようなものも少なくない。詳しいことは知らないが、確か3人ぐらいが持ち回りで書いている。私の感覚では、「うまいな」と思わせるのは、3日や4日に1度ぐらいしかない。それは担当者の技量の問題ではなく、コンスタントに、中身があってうまくまとまった文章を書くのは容易ではないからだ。自己弁護しているような気がしてきた。
 最近も、朝日新聞に関するテレビCMが、天声人語が入試で出題されることを売りにしていた。一体、どれだけの文章が使われるのだろうか。休刊日を除いて1年で約350日あるとする。仮に5話だと70分の1である。失礼な例えになるが、大事MANブラザーズバンドを思い起こしてしまった。今、調べてみると、アルバムを10枚出している。ただ、最後の3枚のタイトルは『SUPER BEST 2000』、『BEST SINGLES』、『GOLDEN☆BEST』。中々えらいことになっている。『SUPER BEST 2000』が1995年に発売されているのに、なぜ「2000」となっているのだろうか。どうでもいいことが気になってしまった。ベストアルバムを除けば、7枚。1枚当たり10曲だと計70曲になる。その中に『それが大事』という大ヒット曲が1つ。見事に天声人語と符合する。要はこういうことなのだ。入試に出題されるからという理由で、天声人語を毎日写させたり、要約させたりするというのは、「それが大事」というヒット曲があるからという理由で、大事MANブラザーズバンドの7枚のアルバムに収録されている曲を「いい歌だよ」と全部聞かせるのと同じである。もしかすると、掘り出し物が見つかるかもしれないが。ここで、謝罪を。大事MANブラザーズバンドの皆様、申し訳ございません。カラオケで何度か歌わしていただきましたし、何の恨みもございません。ただ、曲の最後、サビのリピートが多すぎて、大抵は「演奏停止」ボタンを押させていただいておりました。
 結に移る。仮に、私が天声人語を生徒にさせるならどうするだろうかと考えた。毎月最高の1話だけを切り抜いて、それを10年間貯める。その120話の中から、さらに厳選して取り組ませる。ただ、要約させるだけではなく、そこで話題になっている社会現象がどういうものかを調べさせる。また、AからBに話を転じているのであれば、AとBの共通項を一文でまとめさせる。今のこの時期なら、風が吹いて与党が自民党から民主党に移った時のもの。その民主党が絶頂から野党に下るまでの経緯が分かるものを生徒に手渡すだろう。民主党政権が約3年なので、1年間隔ぐらいで3話か4話渡せばそれなりに流れは掴めるはずである。それを今回初めて選挙権を得た18歳の高校生に取り組ませる。すると、少しは自分なりの判断で投票できるのではないだろうか。私はいわゆる無党派層である。だから、その時々で応援する党が変わるのだが、思い返してみると、個人に票を入れたことはない。いつも、「~党だから、この人」としてきた。今回は、もう少し個人に注目してみようかな。

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