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2018.05.22Vol.350 まあ、大体こんな感じなんですけど

 小2の二男が友達とけんかをして蹴飛ばし、その子が泣いて帰ってきたとのことで、その夜に母親から妻に連絡が来た。翌朝、妻は登校時に息子と一緒に謝りに行った。その際「今回のこと、だんなさんはどのように考えておられるのですか?」と尋ねられたらしい。
 それからさかのぼること10日。GWに私の母も連れて家族旅行をしていた。夜ご飯の前に、小4の長男と二男の殴り合いのけんかが始まりそうになった。そこで私はいくつかのことを伝えた。
「どうせやるなら部屋の真ん中でやりなさい。隅の方でやるとサッシなどにぶつけて頭を切ったりするかもしれないから」
「けんかのときに凶器を使うのは絶対にだめ」
「相手の目を指でついたりするのも大けがをするからだめ」
勝負はすぐについた。二男のストレートが顔面を的確にとらえて、長男は鼻から血を出し、背中を向けたところを二男に後ろから羽交い絞めにされて太ももに膝蹴りを何発もくらわされた。機を見て「もうやめなさい」と止めに入った。その後、長男は我々の前から姿を消した。ご飯ができたので隣の部屋に呼びに行くと、まさに漫画のような光景が。ベッドと壁の隙間で、ベッドを背にして、鼻血のついたTシャツを着たまま体育座りをしながら放心状態のようになっていた。その長男に
「ご飯ができたから来なさい」
「どんなときでも相手に背を向けたらあかん」
「お父さんは子供の頃、力で周りの人を押さえつけていたけど、その力がないならどうやってリーダー(リーダーにはなりたいらしいので)になれるか考えなさい」
「2歳下の弟に負けるのは情けなさすぎる。お兄ちゃんとしての威厳を保つには自分に何ができるかを考えなさい」
 妻と母から、「あれではかわいそすぎる」「不憫だ」というような指摘を受けた。それに対して「あれでいい。あれが実力なんだから。先延ばしにするのではなく、同じなら早くに分かった方がいい」
 話は変わるが、現在、百田尚樹の『逃げる力』を読んでいる。彼は発言をしてよく炎上している。そういうときのコメントはあまり好きではないのだが、小説やこのようなエッセイも面白いから「考え方が偏りすぎてるねんなぁ」と思いながらも手に取ってしまう。その本のまえがきで、次のようなことが述べられていた。

自分にとって大切なものを守るために、人生にはしばしば「戦うか」、あるいは「逃げるか」という選択を迫られるときがあります。そのとき、戦っても勝ち目がない、または戦っても状況は変わらない、あるいは戦っても得るものがない、と判断したら、さっさと逃げるべきです。これはまったく恥ずかしいことでも、いけないことでもありません。

 子供のけんかに親が入ると、表面的には解決はしても子供たちは心から納得しない。また、やられる側から考えると、どういうときに戦って、どういうときに逃げるのかという経験を積まないまま大きくなってしまうことになる。我が子の兄弟げんかも今は鼻血で済むが、けんかのやり方を知らないまま中学生になってから同じことをすると、鼻の骨を折るなどの怪我を負うかもしれない。もちろん、手をすぐに出す二男にも注意はした。
「今回の件で、お兄ちゃんに偉そうにしたら怒るよ」
「自分より小さい三男に暴力を振るったら許さないからな」
と。
 そう言えば、長男が2年生ぐらいの頃、公園で中学生ぐらいの男の子たちからBB弾の鉄砲で撃たれて泣きながら帰ってきたことがあった。そのことを後から聞いた。目に入ったら危ないので決して許せないことではあるが、だからと言って、その公園に行って犯人を捜そうとは思わない。その経験を生かして、その子たちがいればそこに近づかなければいいし、仮にその子たちでなくても似たような雰囲気の子がいれば察知してその場を離れればいいだけのこと。
 誤解されては困るが、何もけんかを奨励しているわけではない。闘牛のように、けんかを故意にさせようとしたわけではなく、始まったからルールの説明をしただけのこと。こういうことに限らず、実体験が乏しいまま大きくなったらどうなるんだろうか、と心配になる。
 妻が「うちの主人の考え方は、まあ、大体こんな感じなんですけど」とここで書いたことを説明したら、大変なことになるんだろうな。

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