
2018.02.19Vol.339 面接につながる作文
Vol.339 面接につながる作文
以前ここでも触れたが、小学3年生の春から2年間西宮北口校で学び、その後中国に引っ越した生徒と毎週テレビ電話を使って授業を行っていた。それは、お母様から「どうしても続けたい」とお願いされてのことだった。そこまで思っていただけることはそうあることでもなく、テレビ電話での授業の可能性を探ってみたいということもあり引き受けた。結局、その可能性に関しては、関係性ができた上でなければ(彼女のようにある程度の期間、直に接した生徒でなければ)、私がイメージする「志高塾らしい」授業はできないと考え、一旦諦めることにした。ちなみに、その期間は小学5年生の4月から中学2年生の3月までの4年間であった。中学生になるタイミングで帰国するとのことであったため元は2年間の予定であった。中学3年生の1年間は、日本での高校受験に向けて予備校の授業が忙しくなるとのことだったので、そのタイミングで終了となった。
先週、その彼女がお母様と合格の報告に来てくれた。彼女の受けた高校は、親子面接があり、お母様は、面接官と堂々とやり取りしているお子様の姿を見て感心したとのことだった。本人には受験前に「俺の顔に泥を塗るなよ」と伝えておいた。意見作文の添削では、相当ダメ出しをして何度も考え直させたからだ。たとえば、児童会に立候補する際の演説の原稿をチェックしたときは、「自分が逆の立場で、そんなこと宣言されて嬉しいか?この人に投票しようと思うか?」などと突っ込んだ。なお、その面接の内容が、直前に私がお母様に送ったメールにそれなりに近かったこともあり、そのメールをここで紹介する。差し障りのないように高校名を伏せたり誤字脱字を修正したりした以外は手を加えていない。なお、最初の段落では、中3になるタイミングで、予備校の授業が週5、6日になると聞き、あれもこれもと取るのではなく、最小限に留めて、それによって空いた時間を自習などで有効に活用した方がいいと伝えたことに関するものである。文章がおかしなところで終わっているが、それは最後の関係のない部分を削ったためである。
あのときも話したかもしれませんが、勝負どころだからこそ
自主性が大事です。受験のときはとことん受身の勉強をして、
入学後余裕ができてからは能動的にしようというのは完全な誤りです。
重要な時期に、必要以上に人の手を借りずに自分でやりきった、
というのが自信につながります。
どの程度かは分かりませんが、そのように方向転換したと聞き
嬉しく感じています。
面接に重きが置かれている、ということですが、正にそこでこそ
志高塾で学んだことが生きるはずですし、生かしてほしいです。
私は社会人になってから役立つ力を育みたい、ということを
念頭に置きながら、指導をしています。
その入口は入社試験です。面接やグループディスカッションなどで
違いを生み出せるはずです。大抵の人は、それに向けて直前の対策を
行いますが、蓄積してきた人には絶対にかないません。
普通の人が見れば同じに見えるかもしれませんが、見る人が見れば
決定的な違いがあるものです。
私が採用試験で面接する際、いくつか質問をしますが、最初の質問に
大した意味はありません。
「(学生に対して)将来の目標は何ですか?」
「どのような本を読んできましたか?」
「(学生に対して)どのような基準で今の大学、学部を選びましたか?」
「あなたを雇うことで志高塾にはどのようなメリットがありますか?」
という一般的なことであったり、履歴書の志望動機などに
書かれていることについて尋ねます。
大事なのはそこからです。最初の予想される質問に対する答えは用意しているものの、
その答えに対してさらに掘り下げようとすると、そこでボロが出る人は少なくありません。
今通っている塾などでも面接の対策をしてもらえるでしょうが、
おそらく想定問答みたいなものを用意して終わりです。
面接で大事なのは、正直に答えることです。
今親子で時間をかけてやり取りしていることが生きるはずです。
そもそも、中学3年生が大したことを考えているとは相手も
思っていないので、必要以上にかしこまる必要はありません。
昨年の4月に高卒で就職した生徒がいます。
のんびりとした校風を気に入り、ある私立中学校に入学したものの、
そのタイミングで校長が代わり、急に進学に力を入れ始めました。
それについて行けずに、成績表は真っ赤かだったとのことです。
中学校を卒業する時点でも学校変更を考えたらしいのですが、
結局そのまま上がりました。結果、高1の終わりに別の高校の試験を
受けなおすことに決めました。
お母様が若い頃、職人をしていたこともあり、
「この子には手に職をつけさせた方がいい」と判断してのことでした。
高校受験に向けて、中学入試以来4年ぶりぐらいに志高塾に帰ってきました。
元々優しそうなタイプではあったのですが、そのときは弱そうに見えました。
無事に合格し、その後は周りがそこまで勉強が得意でないということもあり、
学年でも3番以内に入り自信を得て、顔色も変わりました。
その入社面接に向けての準備をしていた際、高1を2回したことを
ネガティブに捉えて言い訳をする方向で準備をしていました。
学校の先生とのやり取りでそのようになっていたのです。
それを聞き「そうじゃない。それは強みなんだ」と伝えて、
180度変更させました。
普通であればそのまま高校卒業をすることを選ぶもので、高1を
2回してまでそのような選択をしたことは意志の強さの現れであり、
若い頃に苦労していることも価値があるのだ、ということを話しました。
もちろん、それが功を奏したかは分かりませんが、
マイナスに働かなかったことは事実です。