志高塾

志高塾について
志高塾とは
代表挨拶
通塾基本情報
アクセス
お問い合わせ
志高塾の教え方
指導方法
志高塾の作文
志高塾の添削
読解問題の教え方
使用教材と進め方
志高塾の教え方
志高く
志同く
採用情報
お知らせ
志高く

2018.01.09Vol.333 作文は難しい

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 元日の朝、7時に起き、気合を入れて内部向けの『志高く』を書き上げようとするものの、遅々として進まず「きっと、生徒たちが教室に来て意見作文に取り組むというのは、こういうことなんだろうなあ。」としみじみと感じていた。このHP上のブログであれば、1週間の中で自分が気になったことを1つ取り上げてまとめれば済む。さすがにそれだけの期間があれば、日常生活の中で1つや2つは少しぐらい掘り下げて考えようとすることが出てくる。つまり、時間的にも題材選びにもそれなりの自由度があるのだ。しかし、「新年らしいもの」というテーマを掲げ、年明け早々に書こうなんて張り切ったりすると、一気に難易度が上がる。生徒が毎週決まった時間に来て、与えられた課題に取り組むことの大変さを疑似体験した。そして、私は決断した。内部向け同様、このブログでも苦戦は必至なので、「新年らしいもの」という縛りを取り払おうと。
 年末年始は、教室全体としては1週間休みになるのだが、毎年受験生向けには開けている。今年は、中学受験生の人数が過去最高なのだが、その割には心が落ち着いている。この時期、仕事以外では頭の働きが鈍くなるので、日頃はあまり読まない推理小説など手軽な本を手に取ることが多いのだが、年末から年始にかけて、通勤中はノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの、家では別の作家の本を並行して読み進めた。そうは言っても、やはり頭はあまり回転しないので、読むスピードの遅さに拍車がかかる。「子供は〇歳までに~」といったような親を不安にさせるような類のものは嫌いなのだが、小さい頃から読書に親しんでいると、断然読むスピードは速くなる。自然にできあがったそのような下地の上に、人工的に速読のメソッドを入れるのは理解できるが、本を読もうとしない子供に、中学受験に向けて速読をさせるのはまったく持って感心できない。大人になって、仕事上どうしても資料をたくさん読まないといけない人が身につければいいものであって、ほとんどの人にとっては必要がない。特に小説を速読するというのは、おいしい料理を噛まずに飲み込むようなものである。別のたとえをすると、名所だけを駆け足で巡る観光のようなもので、実に味気がない。私はじっくり読むというよりは、そこに書かれていることを起点にして、内容とは全然関係のないことを考え始めることが少なくない。そのようなとき目では字を追いながら、頭では違うことを考えているので何ページか読み直しになる。私にとっては、考えを巡らすきっかけを作ってくれる本ほど価値がある。ちなみに、カズオ・イシグロの本は1年前ぐらいに購入し、一度読み始めたものの断念してしまった。それを再度手に取ったのであって、流行りに乗ったのではないことを念の為に断っておく。どうでもいいか。
 話は変わるが、子供の冬休みの期間を利用して、録りためてあった司馬遼太郎原作の『坂の上の雲』のドラマを長男と見た。1回約2時間で13回もあるので、中々大変である。NHKの大河ドラマがない時期に一気に見ようとしたのだが、結局まだ3回しか見れていない。『坂の上の雲』は、松山で生まれ育った秋山好古(よしふる)、真之(さねゆき)兄弟と正岡子規の3人が主人公である。兄の好古は日清戦争において陸軍で、弟の真之は日露戦争において海軍で大活躍をする。4分の1も見終わっていないのに言うのも何だが、このドラマはかなり面白いのでお勧めである。
 「新年らしいもの」という縛りを無くしたら、文章が糸の切れた凧のようになってしまった。しかし、最後はビシッと締める。人の力を借りて。好古が真之に次のように語った。「人間生まれてきたからには一事を成せ」。その言葉を聞いた瞬間から「俺も、頑張ろう」という気になった。受験が終わったら、2018年の個人的な目標でも立ててみる。気持ち新たに日記などを1月1日から始める人はそれなりにいるだろう。でも、2月ぐらいからでも悪くない。「思い立ったが元日」という言葉があったような無かったような。

PAGE TOP