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2019.06.11Vol.401 プロフェッショナルとは?

 「あれやな。俺の1日追っかけられたら、朝からスーパー銭湯でサウナに入って、その後ちょこっと授業して、『せんせぇ、もうかえんのぉ?』と言われながら、フットサルに行く。『この人全然情熱ないやん』ってなってまうな」。1年に1回ぐらい何かのきっかけでこのような話になるが、生徒達が喜ぶ鉄板ネタである。私が『情熱大陸』に出たら、である。
 「プロにお任せします」。10年ほど前、授業数をどれぐらい増やすかを話し合っていたときに、あるお父様から言われた言葉である。自分がプロと呼ばれることに随分と違和感があった。それはそのまま私の心の中に残り続け、ふとした瞬間に「自分はプロと呼ばれるにふさわしいのだろうか?」と自問自答していたような気がする。
 お金をいただいて仕事をすればプロである。これはあくまでも名目上の話に過ぎない。逆にお金をもらわなければプロと呼べないのか、と言うとそうではない。金銭の授受が発生しているかとプロであるかは無関係なのだ。さて、先ほどのお父様のお子様は、中学受験において第1志望ではなかったがそれほど悪くないところに合格した。ただ、自分の中では、預けていただいた時間と支払っていただいた金額からして妥当なのだろうか、というのがあった。そのときに胸を張って「十分な仕事をした」となっていれば、「プロにお任せします」の言葉もきれいさっぱりと自分の中から消えていたかもしれない。
 彼女は中学受験を機に志高塾を卒業したのだが、大学入学後、何の連絡もなしに私に会いに突然教室に来てくれた。3年ぐらい前のことであったろうか。そして、中高の6年間の話などをしている中で「先生に教わったことがその後に生きている」というようなこと(そこまで大げさな表現であったかどうかは忘れたが)を言ってくれた。今気づいたのだが「プロにお任せします」という言葉は未だに思い出すものの、その後に来るのは以前のような問いかけではなく、「昔はよくそれについて考えていたな」という振り返りになっていた。間違いなく彼女の一言がその変化を生んだ。
 遠のきつつあった「プロ」という言葉が、別の形で私のところに帰ってきた。この春、持ち家であったマンションから賃貸の一軒家に引っ越した。馴染みの不動産屋さんはいたのだが、情報サイトで気に入った物件を扱っていた業者に電話をしたことがきっかけでいくつか内覧させていただき、私は彼に頼むことにした。自宅で打ち合わせを何度かしたこともあり、早い段階で「じゃあ、こちらの家の方もお願いします」となった。売りに出すか貸しに出すかも決めかねていたので、同時並行で募集することになった。新しい家の家主さんとのやり取りもスムーズに進まなかったが、それ以上に持ち家の方は大変であった。全面的にクリーニングをすることはもちろんのことながら、どこを修繕する必要があってどれぐらい費用が掛かるのか、どれぐらいの日数を要して、いつの時点で入居が見込めるかなど、知りたいことがたくさんあったのだが、タイムリーに知らされることがないどころか、こちらが聞いてから何度も催促して漸く返答があるような状況であった。不信感が募り、持ち家の方は馴染みの不動産屋さんに切り替えた。その瞬間、それまでの停滞が嘘のように一気に話が進んだ。「あれはどうなっていますか?」、「ここはこうして欲しい」などとこちらから質問をしたり要望を伝えたりしなくても、ほとんどすべて「松蔭さん、このようなに進めようと考えているのですが、それでよろしいでしょうか?」という形式になった。いくつか私が聞きたいことだけ確認した上で「それでお任せします」で終わりである。「そうではなくて」と私が切り返したのはただの一度もない。その後も話はとんとん拍子に進んだ。新しい家で起こった問題なども結局その方に相談することですべて解決した。同じことをするにしてもこうも違うのか、というのを改めて実感した。
 話は変わるが、慶応のニューヨーク校に昨年の9月に入学した生徒が帰国した。学年で3位以内に入っているとのこと。それを聞いて「よく頑張ったな。1学期間だけ頑張れる人ならそれなりにいるけど、1年間となるとそんなにおらんで」と誉めたら、「何言ってるん。先生が『とりあえず1年間頑張れ』って言ったんやん」と返ってきた。そして「最初だけなら誰でも上位に入れる。しかし、1年間それを継続出来たら、それはもう自分のポジションになる。そうなったら、周りもそのように扱うし、自分もそこから離れたくなくなるはずや」というようなことを伝えたのをはっきりと思い出した。
 『情熱大陸』は潔く諦め、『プロフェッショナル 仕事の流儀』に出演したとしよう。最後に問われる。「プロフェッショナルとは?」。頭の中でスガシカオの曲を流しながら、「俺、これからいいこと言いますよ」という顔をして静かに語り出す。「『この人のアドバイスなら思い切って実践してみよう』と思わせられる人ですね。それによっていい結果が出なかったとしても、決断したことがその先に生きるような提案をできる人。そんな人になりたいですね」
 
誰も知らない世界へ向かって行く勇気を“ミライ”っていうらしい
世界中にあふれているため息と君とぼくの甘酸っぱい挫折に捧ぐ....
“あと一歩だけ、前に進もう”

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