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2022.08.30Vol.557 The 探求学習

 予定通り友人の奥さんの文章をそのまま紹介する。先に、一点修正を。前回、「アート部門の責任者」とお伝えしたが、彼女が立ち上げたので、正しくは「代表兼アート部門の責任者」となる。芯の強さと柔らかさ、彼女の人柄がそのまま伝わるものすごく心地良い文章に仕上がっている。次回のブログで私の感想を細かく述べる予定にしている。ちなみに、「すぐに質問するな!」と私はまったく反対のメッセージを子供たちには伝えているのだが、根本にあるのは同じ考え。では、お楽しみください。

タイトル;「?」を見つけるところから始めよう!

「何でもいいから、なぜ?と思う事を質問してみてください。」
こう言われたら貴方は何を質問しますか?
また貴方のお子様は質問できますか?
「んー。別にない。。。」
と思ったら今貴方がいる周辺を見回してみましょう。
5つも質問を出せたら優秀ですね。
もし1つも見つけられないとしたら、相当の知識人か人生消費者人間かのどちらかでしょう。

「学びラウンジTUMUGU」ではイベントの他、平日毎日オンラインラウンジを開放しています。
日本中の子供たちがオンライン上で一緒に勉強したり、遊んだり、教え合ったり、自分の好きなことを探究したりしています。

ルールはただひとつ。
「わからない事はすぐに聞け!」
TUMUGUは「わからない」が大好物なので、子どもたちは「わからない」というと全力でほめられます。
その質問に答えてくれる先生らが駐在していて、質問に答えたり、一緒に考えたり、アイデアを出したりします。
そこで解決しなければ、後日その道のプロの方に直接繋いで質問できるプラットフォームなどもあります。

毎日子どもたちから出される質問は、学校や塾での勉強に留まらず、日々の生活で抱いた「なぜ?」がほとんどです。
それらは大人にとっても斬新!また挑戦的でワクワクします。

ところが最初はこの質問作りがどうしてもできないお子様がいます。
いつもやらなくてはいけない宿題を与えられ、十分すぎるほどの情報と教育保護の中で育った子どもたちにとっては無理もない話です。

勉強をやらされて、止まる事を許されない子供たちに「?」なんて抱く時間なんてないのですから。

しかしこれは大問題です。身の回りに無数に散りばめられた問題や、奇跡、?などには沢山の学びが隠されているのに、それらを素通りしてひたすら「教育消費者」となるのです。
そういった消費者子供を減らすために、質問を見つけられない子どもたちとも対話を続けながら、一緒に「?」を見つけられる体質にしています。

一方でTUMUGUには不登校の子どもたちも在籍しています。
私は彼らを「優等生」と呼びます。学校で起きる理不尽な出来事に敏感に気づき、アクションを起こした子どもたちですから。
また特に不登校でなくても、そういった身の回りの理不尽に「?」を抱けば、それがその日の質問だったりします。
最初は文句に聞こえますが、文句をただの文句で終わらせないために、子どもたちと丁寧に対話を続けます。
すると問題の本質に気づいたり、ルールの先には一体何があるのかを考える事で、問題解決したり今あるルールをどうしたら変えられるか考えてみよう!という様に切り替わります。ただの消費者から当事者に変わっていく事が多々あるわけです。
文句もまた学びのチャンスです!

それでは実際にあったこどもたちの質問をいくつかご紹介しましょう。

栄養には味があるの?
お風呂に入ると外からの声が聞こえなくなるのはどうして?
ヘリウムを吸うと声が高くなったのはどうして?
シリカゲルの青いのは何?
信号の「止まれ」はなんで赤なの?
勉強はなんでしなくちゃならないの?
地球一周の長さはどうやって図ったの?
人間はおしりをふくけど、他の動物はなんでふかなくてもいいの?
透明は色なの?
お母さんはなんで怒るの?

などなど面白い質問は、ここには書ききれないほど沢山ありました。

素朴な質問から、ある程度の知識がなくては生まれない質問まで様々です。
全ての事象には理由があったりするので、それをサイエンスの見解で説明しますが、小学生では難しい事もあるし、複雑に絡み合ったりしていて一概には伝えきれない事もあります。

でもこれらはどれも子供たちが自ら「なぜ?どうして?」と切に知りたがっているので、一生懸命聞き、ノートにとり、さらなる質問を見つけ出したりします。
そのまま実験に発展することもよくあることです。これを私は「健全な学び」と呼んでいます。

また1人の質問をみんなで考えたりする時もあります。

例えば「どうしたら戦争(ケンカ)を終わらせられるのか?」
みんな一様にヒーローと悪人にハッキリと分けて話し出します。
しかし、この話し合いをするには歴史(ケンカのプロセス)をまず知ることが必須となります。

すると知識が考え方の土台となり、多面的に物事を捉えられる様になります。

「そもそも単純にヒーローと悪人が揺るぎない物だとしたら、戦争は起きないんじゃないのか?それかすぐに終わるはずだ。」とか1人が言い出します。
なるほど、鋭い!
みんなでうーんうーん言いながら、さっきまで悪人だった方の立場や気持ちを探るようになりました。

この様にどれだけ時間を割いても終わらない疑問もありますが、そんな時でも誰かが誰かを否定する事はなく、どんな意見も1つの考え方として認め合うよう心がけています。
そのためどんな意見でもわからない事でも恐れず、みんなの前で言えるのです。
この「安心できる環境」こそが、子どもの力を伸ばす秘訣です。

私の仕事は子どもたちに何かを教えるのではありません。子どもたちの話を聞くのが仕事です。

子どもたちが好きなことを自信持って「好き!」と言える。
わからない事にふたをせず、「わからない!」と言える。
困った時には素直に「助けて!」と言える。

当たり前と思うかもしれませんが、これなかなか難しいのが現実です。
でもそんな社会にしたいと思いませんか?

だからTUMUGUでは子どもがわからないと言ったら褒めて面白がり、好きなことや、やりたいと思ったことを全力で応援し、アウトプットの仕方を一緒に考えるのです。その結果、多くの子供先生が誕生し、これまでに子供が子供に教えるマイクラ教室やお料理教室、実験教室、クラフトワークショップ、プログラミング教室などを始め、多くのオンライン部活が自発的に誕生しています。
子どもたちは好きなことをアウトプットし誰かのためになりたいと望むことで、自ら探求し、学び、表現力を育んでいくのです。
まさに「人に教えることは学びの最高峰」だと考えます。

TUMUGUの代表である前に2児の母親でもある私は、是非この場をお借りしてこれを読んでくださっている皆さんにお伝えしたい。
真の教育とは教えることではない。学びたい!と思える環境を作ること。
だとするとこれは教育者や学校だけでなく、親、大人たち、友達、ひいては社会全体の課題ではないでしょうか?
だから是非、こどもの「?」を一緒に楽しんでください。そして大人の皆さんも身の回りに「?」をたくさん見つけて面白がってください。
それこそが「健全な学び」の種になります。

変わりませんか?
消費者ママ(パパ)から当事者ママ(パパ)へ。

学びラウンジTUMUGU代表;八木美佳子
https://www.tumugu-lounge.com/
八木美佳子プロフィール
東京藝術大学音楽学部卒業桐朋大学音楽療法研究科修了。
テレ東おはスタ、Eテレプチプチアニメ、ポンキッキなど教育番組にも出演。他、子供のためのコンサートやワークショップなどを行う五感塾を主催。

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