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2022.11.22Vol.568 人の評価と自分の評価

 先日、あるお母様とのやり取りの中で、「私は子供の頃から、人に評価されても、自分が納得できなければ嬉しくは無かったです。そう思いながらどうにかやってきました。」というようなことを伝えた。さらっと読むとかっこいいことを言っているように感じられるが全然そんなことはない。別に、自分が納得できるまで頑張った、ということではないからだ。人の評価の基準より、自分のそれをある程度高く保っておかなければならない。少しぐらい上に設定しているだけではダメなのだ。それは、多くの人は率直な意見を述べずに、幾重にもオブラートに包んでしまうからだ。その分を差し引いても、余りが出るようにバーの位置を決めるのだ。そう言えば、もう5年ぐらいの付き合いになるお母様、初回か2回目ぐらいかの面談で少し遅刻をされた。車で何度となく来ている西宮北口なのに、道を間違えてしまったのがその原因。この前の面談で次のようなことをおっしゃられた。「もうだいぶ慣れましたけど、昔はめっちゃ緊張しながら来ていました。そして、ずたずたになって帰って行く、といった感じでした。だから面談の日はぐったりと疲れていました」。ついでに、「先生は目が怖いです」とも付け加えられていた。それを否定する要素は残念ながら見当たらない。この夏、東京の友達の新居で就職活動中に知り合った仲間と3年ぶりぐらいに集まったのだが、引っ越し祝いに持って行く赤ワインをそのお母様にお願いして選んでいただいた。私は全然詳しくないからだ。ちなみに、ワイン通のお母様を少なくとも3人は知っている。もちろん、「ワインに詳しいですか?」「はい、そうです。私は毎晩浴びるように飲んでいます」「ということは、お母様の血液は赤ワインでできているのでしょうか?」「そんなわけありません」というような英語の例文にでもなりそうな堅苦しい質疑応答をするわけではない。いつどのようなことがきっかけだったかは覚えていないが、とにかく私はその事実を知っているのだ。私の楽観的な推測に過ぎないが、どなたに頼んでも引き受けてくださったはずである。
 この前、ある生徒が「面談って、先生がどうでも良いことを好き勝手に話しているだけやろ」とアホなことを言い、周りの生徒が共感していた。入塾したてであったり受験が近づいてきたりであれば勉強の話が中心になるが、そうでなければ普通の世間話程度のことで終わることも少なくない。特に、付き合いが長くなれば基本的な情報は共有できているので、必然的に話題は広がっていく。「特別話すこともないんですけど来ました」ということもある。ありがたいことだ。面談は半年に1回なので、その時にタイミング良くというか悪くというか、どうしても相談したい重大なことを親御様が抱えているわけではない。大事なのは、勉強でもそれ以外のことでも良いので、何か困ったことがあったときに、私なり志高塾の誰かに話してみよう、と思っていただけることなのだ。何気ない会話の中にその人の本性が出ることは少なくない。それゆえ、どうでも良いことをぺちゃくちゃと話して、親御様に本当の私を見せることはそれなりに意味があることなのだ。
 そう言えば、「緊張して来て、ずたずたになりながら帰って行く」話を他のお母様に笑いながら伝えたら、「めっちゃ分かります」と返ってきた。ただ、「思い当たることを指摘されるから痛いんです」とのことであった。的外れで意味も無く傷つけているわけではないのなら良いか、と私の中で一件落着した。ずけずけ言う私でもルールはある。「能力ではなく取り組み方」を評価の対象にすることである。たとえば、生徒達にも次のような声掛けをすることは少なくない。「理解をするのが遅くて俺は怒ることは無い。ただ、人より時間が掛かったのなら、苦労して手にしたものを簡単に手放すな。忘れないような工夫をしなくてどうするんや」。
 最後に、前回触れそびれたツイッターにまつわる話を少々。担当の志賀が、私のことを持ち上げすぎるので気持ち悪くて仕方がない。たとえば、先週のブログに関するものであれば「代表な貴重なつぶやきが」というのがそれに当たる。ただ、それはオブラートに包んだものではなく、彼女の本音なのだ。彼女が講師として生徒と接していた頃、手の掛かる生徒達の良いところを見つけてどうにかして伸ばそうと誰よりもしていたのが彼女である。私としては、みこしにかつがれてグワングワン揺らされている気分だが、ツイッターを彼女に任せている以上、その評価も素直に受け取ることにする。その志賀には、以前にブログか内部配布で載せた文章の中から、「ななつ星in九州」や九州新幹線「つばめ」のデザインを手掛けた水戸岡鋭治(みとおかえいじ)が『情熱大陸』か『仕事の流儀』に出演したときのコメントを頑張って探して欲しいとお願いしている。正確ではないが、「世の中って意外とフェアーだよ。頑張っている奴のことは誰かがちゃんと見てくれているから」というようなものだった。自分の評価軸をきちんと持って、自分自身が納得行くように進んで行けば、日が当たらないときが続いても、いつか人の評価というのは付いてくるのだ。本当に良い言葉だ。

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