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2021.11.16Vol.519 The 作文

 コンクールで賞を取るためではなく、人生に役立ってこそ作文である。
 今回は中3の生徒のものを紹介する。彼女の活動に賛同していただける方は署名をお願いいたします。なお、私は文章にほとんど手を入れていない。先週の土曜の授業の際に書き上げたものを持って来てくれたので、それに対して「ここにもう少し具体的な体験談が欲しい」などの指摘をした程度である。帰り際、「来週の火曜日はゴルフで文章を書けへんから、修正したものを送ってな。頼むで」と念押しをした。日曜日の夜になってもメールが来なかったのでやきもきしていたら、日をまたいだ0時半過ぎに次のようなコメントと共に送られてきた。
「文章を書くのは果てが無いということが分かりました。明日学校がなければ、まだまだ手を加えたいですが、時間も時間なので送ります。」
では、どうぞ。

「飲食店における原材料開示の義務化を願って」奥村ちひろ

 私は西宮市在住の中学3年です。そして食物アレルギーを持っています。そんな私から問題提起したいことがあります。
 それは、「原材料を聞かれたら誠実に答えること」を義務付ける法令を定めていただきたいということです。
 食物アレルギー患者は、乳児は約10%、幼児は約5%と珍しくないですが、小中高生になると約4.5%と成長と共にだんだんと減ってきて、全人口では約1%~2%です。ですので、子供の疾患だと思われていることがあります。また、私のようにアナフィラキシーショックの既往があるような比較的症状の重い小中高生は約0.5%と少ないです。
(https://www.mhlw.go.jp/seisaku/2009/01/05.html,https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/67/6/67_767/_pdf,https://www.yakuji.co.jp/entry34061.html)。そのためか、普段話題に上ることもほとんどありません。しかし、当事者にとっては、命に関わる大問題であり、私も困ることがよくあります。
 どういうことかというと、食物アレルギー患者は、口に入れるものの原材料を必ず確認します。アレルギーを起こさない為には、原材料を確認して原因となっている物(アレルゲン)を摂らないことが一番だからです。アレルゲンを摂取しなければアレルギーは起きません。ですので、買い物をする時や料理をする時、市販のお菓子などを食べる時は、外装の裏などにある原材料表示を必ず確認します。また、外食する場合は、そのお店にお願いして原材料を教えていただかなくてはなりません。しかし困ったことに、それを教えていただけないことが割とあります。
 例えば、ある国立大学の学生食堂に繁忙時間を避けて入店しカレーライスの原材料を聞いた時は、小1時間たらい回しにされ、情報をなかなかいただけませんでした。私が気持ちを抑えきれなくなり泣いてしまったので、最終的にはレトルトの裏の表示を見せてくださりすぐに解決しました。カレーライスはお店にとって原材料を比較的教えやすい場合が多いメニューではないかと想像していますが、客が諦めるのを待たれていたのかな、と思います。このように、やんわりと退店を促されることや、どれを尋ねても「アレルゲンが入っている」と言われることや、分かりやすく「アレルギー患者の注文は受けない」と入店を断られることが時々あります。アレルギーがあると伝えると、たとえ問題なく食べられるとしても1種類のソルベしか注文を受け付けないアイスクリーム屋さんは、患者間では知られていました。
 なぜこういうことが起きているかというと、飲食店などでは原材料を客に教える義務がないからです(https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms101_210317_10.pdf 67ページ)しかし、チェーン店のファーストフード店やファミリーレストランなどでは、企業努力でアレルゲンを表示してくださっており、とても助かっています。例えば、QRコードを読み取ってアレルゲンを確認できるなど、提供者だけでなく顧客にも便利な方法などです。また、上級なレストランやホテルでは、話を聞いて丁寧に対応してくださるので、特別に嬉しいイベントになります。しかし、そのような対応をなされていないところが多いため、丁寧な対応までは望みませんが、最低限の情報提供については足並みが揃うような指針を国が提示してくださった方が、よりありがたいです。
 とは言え、飲食店側の事情も理解できます。レシピは企業の財産ですので、原材料開示となると企業秘密に関わります。仕入れなどの都合で、メニューや原材料が日によって変わることもあります。ごく一部の客へのボランティアとして多大な労力は割けないでしょう。そのことは、私達も重々承知しています。ただ、だからと言って原材料を聞かれた場合、偽ったり入店を拒否したりしないでいただきたいです。
 そういえば、飲食店が禁煙になった時のことを思い出すと、飲食店が「喫煙客が減る」ことを心配して反対する中、国が主導して禁煙と分煙を進めました。結果、客足が遠のくことなく、今では飲食店での禁煙と分煙は定着しています。このように、アレルギーの場合も、国が主導すると良い結果が得られるのではないかと考えています。
 また、原材料を確認したいのはアレルギー患者だけではありません。持病により食事療法を取ったり、服用している薬の兼ね合いで特定の食物を避けたりしながら、元気に過ごしている人は大勢いますので、アレルギー患者に限ったことではないと思っています。
 しかし、飲食店を経営していない私では想像できないような原材料表示のご苦労があるはずです。ですので、これに関するご意見を、飲食店組合やInstagramで「いいね!」をくださった飲食店さんなどから伺えたら良いなと思っています。それをもとに、容易に原材料表示ができるシステムを、プログラミングスクールで指導を受けながら構築します。対応してくださるならアレルギーサービス料として上乗せしていただくのも良いと思います。また、好意的な飲食店さんを積極的にSNSで情報拡散したいと思います。例えば、ハンバーガー店でも、「アレルギー対応はしていません」と言われ、注文を受けないA店と、アレルギー表示が義務化されていないころからネットで公開し、聞くと丁寧に教えてくれるB店がありました。平等や差別に関心が高まっている今、この2つのお店では、評価が違ってくるのではないでしょうか。
 こうしてハードルを下げ、メリットを増やした上で、最終的には「原材料を聞かれたら誠実に答えること」を義務付ける法令を定めていただきたいと願っています。
 このことに賛同していただける方は、下記のサイトにデジタル署名をしてくださるとありがたいです。
https://chng.it/kc6JnqFZHr
 また、協力して一緒に活動してくださる方は下記のメールアドレスに連絡をくださると助かります。
 連絡先:okumura_c&outlook.jp (&を@に変えて送ってください。)
 最後に、私がこの文章を書くことで新たに知ったことがあります。それは、飲食店のアレルギー対応がここ数年でアップデートされているということです。今回、松蔭先生の「志高く」に掲載していただけるということで、正確な情報を書かなくてはいけないと思い、飲食店のウェブサイトを確認したり、電話で問い合わせたりしました。すると、以前はアレルギー対応をされていなかったハンバーガー店Aが、アレルゲン表示をネットで公開されていました。一方、1種類しか注文できなかったアイスクリーム店は、アレルギーがあると言うと、やはり食べられるものでも実際には注文できないことが分かりました。しかし、数種類の中から選べるようになっていました。企業も変わっていこうとしていることが分かり、今度、どちらのお店にも行ってみたいなと楽しみになりました。
 これから長く活動をしたいと考えていますので、よろしくお願いします。

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