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2022.09.06Vol.558 自問自答への道

 TUMUGUは「分からないことはすぐに聞け!」、志高塾は「すぐに質問するな!」。言葉としては真逆なのだが、通底するものがある。先に結論を述べると、TUMUGUは「自問他答」を、志高塾は「他問自答」を起点にして、「自問自答」を目指していることに変わりはない。TUMUGUに関しては、あくまでも私の個人的な見立てではあるが。
 大学受験まで続く勉強は基本的に「他問」である。「他問」に答えを出せば「他問自答」になるわけではない。分かりやすい例として、算数のつるかめ算を挙げる。「つるとかめが合わせて10匹いました。足の数は合計26本です。それぞれ何匹ずついましたか」。進学塾では、まずやり方を教えてから類題を解かせる。頭も使わずに、習った通りに解くのは私に言わせれば「他問他答」である。志高塾ではどうするか。まずはどんな方法でも良いから答えを出させる。「つるが10匹とかめが0匹。次に、9匹と1匹。」と順番に試して行っても良い。そうすると、1匹ずれるごとに、足が2本ずつ減って行くということに気付けるチャンスが生まれる。もう少し工夫する子だったら、「ちょうど5匹ずつだったら、4×5+2×5=30になるけど、それより本数が少ないということは、足の数が少ないつるの方が多いということだ。じゃあ、つるが6匹でかめが4匹から調べよう」となるかもしれない。ちなみに、正解はつるが7匹(羽)、かめが3匹となる。また、「あめが3個ずつ入った袋Aと、4個ずつの袋Bがあります。A, B合わせて20袋あり、あめは合計67個あります。Aは何袋ありましたか。」この問題であれば、いろいろと試しているうちに、「4には何を掛けても偶数になるけど、3には奇数を掛ければ奇数、偶数を掛ければ偶数となる。合計が67で奇数なので、Aの袋の数は奇数であることが確定するから、1, 3, 5と順番に調べて行こう」と少し手間を省けるかもしれない。こういう経験を重ねて行くと、習わなくても解ける問題がそれなりにあること、手を動かすことで発見があること、法則を見つけることの重要性などが分かってくる。自分なりに苦労して答えを出せば喜びも得られるし、解法を教えてもらったときに「なるほど、そうすれば良かったのか」となる。この「なるほど」は、学び続けるエネルギーになる。点数、成績だけをモチベーションの源泉にしてしまえば、つまずいたときに一気にやる気が減退する。
 一方、TUMUGUはどうか。生徒が問いを立てて、特に科学的に難しいことなどであれば専門家が答えてくれるので「自問他答」の形式を取っているが、自問して終わりにさせていないはずである。教えてもらうにしても、答えを出すところにできる限り関与させなければ、いつまで経っても「自問自答」にはたどり着けないからだ。このことを考えていて、5年ぐらい前の出来事を思い出した。当時、確か中学生ぐらいだった男の子が、与えられた作文のテーマと間接的に関係のあることを講師に質問したのだが、それを横で聞いていた私は「思い付きで質問するな」と注意した。そして、その1週間後、授業に来たときに「そう言えば、この前に聞いてたあれ、ネットで調べてみた?」と尋ねたら、案の定、首を横に振った。「興味が無いのにとりあえず聞いているのが分かったから、先週注意してん。本当に知りたかったら、自分でどうにかして調べるやろ。質問して満足してたらアカンぞ」。TUMUGUであれば、そのような状態でもまずは質問させて、そこから興味が持てる方向に持って行くのだろう。私はと言うと、時と場合による、ならぬ、生徒の学年と性格による。小学生であれば上のように一刀両断せずに問題と直接関係しないことをあえて聞こうとしたことを褒めるかもしれないし、好奇心が旺盛な子であれば、質問をしたり一緒に考えようとしたりしてさらに刺激を与えようとしたかもしれない。
身の回りのことに興味を持てるようになる、というのはTUMUGUで学ぶことの利点の1つだが、それ以外にものすごく価値があるのは、自分一人では処理できなかった問題を周りの人と協力したり専門家の助けを借りたりすることで、解決できることが少なくない、という経験を積み重ねられることではないだろうか。大人になって壁にぶち当たったときに、それは生きる。今は、子供であるがゆえに優しく接してくれるし、授業料を払ってTUMUGUがマッチングして助けてくれているけど、大人になるとそうは行かない。積極的に動いても冷たくあしらわれるかもしれないし、自分に何か差し出せるもの(必ずしも、金銭的なものに限らない)が無ければ、手を貸してもらえないかもしれない。しかし、うまく行かないときに、解決できるはず、と経験に裏打ちされた希望を持ち続けるのと、どうせ無理だろうな、と諦めの気持ちを抱きながら動くのとでは結果は間違いなく違ってくる。
 TUMUGUの生徒も、志高塾の生徒も、誰かが用意したそれっぽい枠に収まらない面白い大人になって欲しい。

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