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2021.10.26Vol.516 丸大ハンバーグ

 テーマが見つからなかったら「大器晩成に欠かせない条件」というタイトルで書こう、と困ったときのために取っておいた。直近のVol.514, 515の2回はどうにかくぐり抜けたのだが、早くも出番がやってきた。何も思い浮かばずに追い込まれて昨日の時点で決断したが、見事に準備不足であったため慌てて「物事は2軸で4つ 左上より右下がベター」とそれに少し手を加えたもので行くことに。しかし、これまた先が見通せず「丸大ハンバーグ」に落ち着いた次第である。その3つは密接に関係しているので、順を追って説明して行く。
 「大器晩成に欠かせない条件」とは何か。それは早熟ではない、ということである。すると、晩成とは一体何なのだろうか、という疑問が湧いて来た。取りようによっては、まるで早くから結果を出すことが良くないことのように感じられてしまうからだ。そこで、いつものようにスポーツに例に取る。甲子園で活躍し、鳴り物入りでプロ野球界に入り、高卒でありながら1, 2年で活躍を見せ始める。しかし、その後は鳴かず飛ばずになり引退の日を迎えるのが早熟。一方で、そこからさらに進化を遂げるのが晩成の一種である。それで行くと、現在メジャーリーガーとして大活躍している大谷翔平も晩成ということになる。もちろん、年を取ってからようやく成功する、というのが典型的なパターンではある。
 なぜ、そんなことを考え始めたのかと言うと、小3の三男が我が子としては初めて運動会の徒競走で、それなりの差を開けて1位になったからだ。それによって、逆に、これまで我が子たちがあまりに結果を出してこなかった現実に、3人とも早熟とは程遠いことに改めて気づかされたのだ。私はかけっこが得意だったので、当然自分の子供たちもそうなると思い込んでいたら、まったくそうならなかった。一番筋が良さそうな三男には期待していたのだが、これまでは1位を取ってもぎりぎりであった。3人の中で、勉強、スポーツ、芸術の3分野において「才能があるかも」と思わせるのは、長男の生け花と二男の絵ぐらいなのだが、それにしても高が知れている。だからと言って子供たちの将来を悲観しているわけではない。おかげでじっくり育てるしかない、という気にもなれているからだ。
 上のことを分かりやすく説明するためには次のようにするのが良い。数学のx軸(横軸)とy軸(縦軸)を思い浮かべていただきたい。このとき、「x, yが共にプラス(右上)」、「xがプラス、yがマイナス(右下)」、「xがマイナス、yがプラス(左上)」、「x, yが共にマイナス(左下)」の4つに分けることができる。軸をどのように設定するかにもよるが、右上が一番良くて、左下一番悪い、というのは感覚的に理解していただけるはずである。それゆえ、左上と右下をどのように評価するのかというのがポイントになる。
 大器晩成の場合は次のようになる。x軸のプラスを「大器」、マイナスを「小器」、y軸のプラスを「早くに結果が出る」、マイナスを「中々結果が出ない」とする。このとき、左上は「小器なのに早くに結果が出る」、右下は「大器だが中々結果が出ない」となる。子供に成功体験を積ませてあげた方が良い、などと言われるが、中身が伴っていないのに偶然良い成績を残してしまうと、「できる」と調子に乗ってしまったり、実力通りに結果が出ていないだけなのに現実を受け止めようとせずに「あの時にみたいにうまく行くはず」と淡い期待を抱き続けたりすることになるかもしれない。結果が出なくても子供が右下にいると感じられれば親として安心できるが、もしかしたら左下の「小器だから結果が出ない」かもしれない。いずれにしても結果が出るように手を打って行くしかない。正に、私はその心境である。
 ついでに、親が子に勉強を教える場合も考えてみる。これに関しては、これまでに何度か書いたり話したりしてきた。x軸のプラスを「教え過ぎない」、マイナスを「教え過ぎる」とする。y軸のプラスを「教えられる(教える能力、技術がある)」とすれば、マイナスは「教えられない」となる。この場合、「教えられるのに教え過ぎない」が最高である。子供を見守りながら、ここぞという時に限り最小限の手助けをするからだ。「教えられないのに教え過ぎる」が最悪であるのは言うまでもない。そして、左上は「教えられるから教え過ぎる」、右下は「教えられないから教え過ぎない」となる。左上の方が瞬間的には良い結果が出るかもしれないが、目標を持てる子に育ててあげさえすれば将来的には右下の方が明るい。自主性が育まれたり、試行錯誤することの大切さを経験的に学べたりするからだ。
 ここまで述べて来たことを考えていて、丸大ハンバーグの「大きくなれよ」のCMを思い出した。私立に通う中1の長男が、希望者だけが受講する夏休み中の学校の補習授業に参加する気がなかったので親として喜んだ。もちろん、参加することがダメなわけではない。ほとんどの生徒が参加するからと言って、自分も受けないと置いて行かれる、というちっぽけな考えを持たなかったことが嬉しかったのだ。日頃、私は、あれしなさいこれしなさい、と言わないのだが、珍しく指示したことがある。学校から案内のあった来年2月に行われる大阪マラソンのボランティアに申し込みなさい、と伝えた。何をするかは知らないが、単純に良い経験にはなるだろうし、開催されるのが学年末試験開始日の2日前だというのも強く影響している。「試験前だから」などとつまらんことを考えて欲しくなかったのだ。親としてできるのは、左下ではなく、まずは右下にポジションを取れるようにしてあげることである。後は、自分たちでどうにか道を切り拓いて行ってくれることを願っている。

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