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2023.02.07Vol.578 目の前の目標と今やるべきこと

 まずは告知。TUMUGU代表の八木美佳子さんから、2回シリーズのオンラインイベント「【がんについて学ぼう!】〜ちゃんと知れば本当は怖くない!〜」のご紹介。ちなみに、第1回は「がんってなぁに?」、第2回は「医療現場のロボットたちを見てみよう」となっている。詳しくは下記URLを参照のこと。宇宙シリーズに続き、二男と三男は参加予定である。
https://shoutout.wix.com/so/1aOOG-v8q?languageTag=en&fbclid=IwAR2n5rjIcGMcONQL1bSG7kmzOt-ngAp9kf9Eqfrf2W4oGnNxQWRyrOnQKNc

 志高塾には、主に中学生以上が取り組む「資料読解」と呼ばれる教材がある。そこでは、人口、エネルギー、食品ロス、プラスチックゴミなどの問題別に章立てされていて、各章で200字から400字程度の作文が3つほど課される。データがグラフなどで与えられ、それを読み解いた上で、そこに自分の知識などを絡めて、最終的には少しでも現実的な解決策を提示する。第2章はAIに関わるものでいくつかある設問の1つに「図 1~図 3 を参考に、AI やそれを搭載したロボット、IoT がどのような人にとって、あるいは状況において、どのように役立っているのか、具体的な事例を挙げて説明しなさい。上記の資料にないものを取り上げても良い。」がある。なお、3つの図のうちの1つが、病院におけるAIによる画像診断に関わるものである。今回のイベントで医療現場のロボットについて学べれば、「上記の資料にないもの」として挙げることも可能になる。二男は第1章の人口問題をもうすぐ終えるので、そのような意味でもタイミングは良いのかもしれない。インプットしたものが新鮮なうちにアウトプットすることでより多くのものが血となり肉となるからだ。
 現在、高校2年生の生徒は西北校だけで9人、3校合わせると13人いる。なお、西北校9人の入塾時期は小2が2人、小3が2人、小4が1人、中1が3人、中3が1人となっている。一番遅い中3からの彼も、中高一貫に入学した中1の時点で将来入塾することはほぼ決まっていた。上の子が既に通っていて、お母様から「クラブがひと段落したら」という話をいただいていたからだ。そして、中学のクラブを引退したタイミングで予定通り門を叩いてくれた。中1の頃に入塾する生徒の多くは、中学受験のときに国語で苦労したのでどうにかしてあげたい、せっかくの6年一貫なので大学受験のためだけではなくその先に役立つことを時間のあるこの時期からじっくりとやらせたい、という親の意向が働くことが多い。そのようにして連れられてきた生徒が反発することは少ない。時間的な余裕が心のゆとりを生むからだ。数日前に、中3のときに入塾した高1の女の子のお母様から、「志高塾でやっていることが何の役に立つから分からない、と言われて困っています。どうしましょう?」との相談を受けた。親の私としては通わせ続けたいのですが、そのためにはどうしたらいいでしょうか、ということである。最終的に、「ひとまず、作文から効果が分かりやすい読解問題に変えて、しばらくはそれを通していろいろ教えるようにします。3か月、いや半年は我慢して通うように本人に伝えていただけないでしょうか」とお願いした。もちろん、それがどのように役立つかを論理的に説明することはできる。ただ、「価値がある」、「意味がある」、「役に立つ」ということを口にする生徒は、「受験にとって」という指標でしか判断をしない。そして、多くの場合、そういう生徒の方が一日の時間の使い方を見たとき、ユーチューブやラインなど、その基準に照らし合わせればそれこそ役に立たないことにより多く費やしているのだが、そのことを指摘したところで「リラックスするのに必要」などと返ってくるので話が前に進まないのだ。ちなみに、今回中学受験を終えた生徒と秋にご両親、本人と4者面談を行った際、「リフレッシュと言いながら、休憩が長いんですけど」とお母様から伝えられたので、「フレッシュな奴にリフレッシュなんて必要ないです」と返したところ、お父様にそれをいたく気に入っていただいたということがあった。もちろん、ずっと勉強させておいてください、ということではない。習っていた野球も12月はさすがに休会していたが、それまでは週1回続けていた。私は「そんなのはやめさせる必要はまったくないです」と伝え続けていた。受験後しばらく休めばいいのに、「志高塾ロスや」と、親が背中を押したわけでもないのにすぐに戻って来て、国語と数学と合わせて週3通ってくれている。まったく疲れていないのだ。先の高1の生徒のお母様からの相談におけるジレンマというのは、国語力が無い生徒ほど、国語力の必要性を訴えたときにそれが理解できないということである。私自身がそういう人だったから、彼女の気持ちは痛いほど分かる。ここで、「国語力」とは何かを定義しないが、単に国語の点数に結び付くだけではなく、その後の人生に生きる国語的な力であると捉えていただきたい。では、今の高2の生徒たちがそれを論理的に説明できるかと言えばそういうことでもない。ただ、長年通い続けている中で、「何か将来に役立ちそうかも」となっていたり、「これはこう」とよく分からないことをさも正しいかのように主張し続ける同級生などを目の当たりにして、「あいつ、思考に柔軟性が無いな」と彼我の差を感じ取り、それが国語力の有無、それを鍛えているかどうかに起因していることを感覚的に掴めたりはしている気がする。
 この前のバスケットの帰り道、豊中校から参加してくれていた高2の双子の生徒を車に乗せて帰った。家が近所だからだ。2人と初めて話したのだが、そのうちの1人は阪大の法学部が第一志望で、第二志望がハムの法学部とのこと。大阪「公」立大学だからそのように呼ぶらしい。「偏差値の順番からしたらここらへんやと第二志望は神大になるんじゃないの?」と聞いたら、「私の学びたいことを教えている先生がいるんです。だから、阪大がだめならハムに行きたいです」と返って来た。その先生の本を読んで興味を持ったとのこと。その子の志望校の決め方にも国語力は大きく関係している。自らの成績と大学の偏差値との数値的なマッチングだけではなく、別の要素を加味しているのだ。京大医学部に進んだ元生徒ついて、阪大の医学部教授が高校生向けに行っているセミナーに定期的に参加していたことを私はよく話す。好きなエピソードだからだ。プレゼンテーションの準備などにも時間を掛けていたので、受験の点数に直結しないどころか、そのことだけを考えればマイナスである。親類に医者がいないこともあり、ひとまず目標とした医学部が自分に本当に合っているかを確認していたのだ。そこに何かしらのやりがいを見つけられたことは、大学受験に向けてのモチベーションにもつながったはずである。
 目の前の分かりやすい目標に完全に視界を遮られることなく、その先を見据えようとして、そこに自分の時間を少しでも注ぎ込んでいく。そういうことを繰り返して行くことで持っている能力が引っ張り出されて視野の広い面白い人間に育って行く。私はそう信じ切っている。

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