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2022.03.29Vol.537 実線を先行する点線

 あれは確か大学生の頃の話である。正月にあまりにも暇だったため、女友達を誘って2人で初詣に行った。その時、にぎわう屋台の並びで手相占いをやっていたので面白半分でお願いした。「あなたたちの相性はものすごく良いですよ」、「俺たちどうもそうみたいやから試しに付き合ってみる?」などという流れを期待してのものだけでなかったことだけは断っておく。占い師が私の手相をじっと見て、「あなたは相当気が強くて、頑固ですね」。瞬間、「それ、絶対に手じゃなくて最初に顔見たときの印象やーん」と心の中で突っ込んだ。それなりに笑いを取れる鉄板ネタの1つである。占い好きをとやかく言うつもりはないが、「人事を尽くして天命を待つ」という言葉があるように、やるべきこともせずに望まない結果を運命だと受け入れるのであれば、それには大いに疑問を感じる。
 これはきっと開校2、3年目の頃の話である。甲陽を目指していた6年生が、夏休みの終わりに行われた甲陽模試で3位以内に入った。毎年数十人は合格している進学塾においてのことであった。その結果が出た直後ぐらいにお母様から「先生、最近の息子はどんな感じでしょうか?」と尋ねられ、「完全に気が抜けてるので、間違いなくすぐに成績は落ちます」と返した。受験後、「あの時の評価が私の感覚と合っていたので、信頼が深まりました」とおっしゃっていただいた。彼は成績が良くて油断したのではなく、地域のだんじり祭りに参加することで浮かれていたのだ。進学塾ではそのような気の緩みはご法度なのだが、私は結構好きである。こればかりは性分なのでどうしようもない。受験生だからとすべてを犠牲にするのではなく、最低限の遊びは必要だし、それを良い結果に結び付けてあげるのが我々の役割である。また、その時は経験不足で分かっていなかったのだが、いずれにしても9月は、夏期講習、学校が始まったこと、運動会の練習、による3つが重なってどっと疲れが出る時期なので、それを折り込んだ上で10月以降、再度気力を充実させていけば良いだけの話なのだ。ちなみに、その彼、お父様の転勤で中1の春から東京に行くことが10月ぐらいに決まった。そのタイミングで首都圏では一般的な4教科受験に備えて社会の勉強を始め、練習のために受けた大阪星光(当時は4教科が必須であったはずである)に難なく合格し、結果的に第一志望の海城に進学した。引っ越し後、お母様から「中学生になってからも続けさせたかったのですが、こちらには志高塾のようなところが無くて」との言葉もいただいた。当時、受験後も続ける生徒などいなかったし、実際には見つけられなかっただけで東京に我々のような塾があることは間違いなかったのだが、何の実績も無かった我々にとっては随分と励みになった。
 それは間違いなく1週間前の話である。逆L字型の成長曲線について述べた。その場合、低空飛行の期間がそれなりに続くことになる。いつか結果が出る日が来ることを期待して、ただただじっと待っていましょう、ということを訴えたかったのではない。前回、ブログをHPにアップした後に、あれでもまだ説明不足だったな、となった。その曲線が示しているのはあくまでも結果なのだ。成績が上がる前には、間違いなく取り組み姿勢が変わる。言われなくても自ら勉強するようになったり、繰り返されるケアレスミスのあほさ加減に気付き、その原因であった字が丁寧になったり、必ず変化が現れる。仮に、未来を見通せる占い師がいたとして、そんな特殊な能力は必要ない。数値に現れないだけで、注意を払いさえすれば誰にでもちゃんと見える。結果の実線に対して、それは言わば点線で表されるようなものなのだ。成績表の折れ線グラフを見て、「上がって(下がって)きましたね」なら小学生でも言える。親御様に、「絶対に上がってくるので、焦って変な手を打たずにもう少しだけ辛抱してください」を信じていただけること、「今は結果が出てるだけで、このままだと間違いなく下がってくるので手を打つ必要があります」とその対策を任せていただけること。志高塾としてそのような信頼感は備えておかなければならないし、そのレベルも上げて行かなければならない。
 開校当初を振り返ってみると、何も実績の無かった我々に対して上向きの点線を見てくださった親御様に支えられていたのだろう。当時は、その期待に応えたくて、それが間違いでないことを証明したくてどうにかこうにか頑張れていたような気がする。
 前回、子供にとって大事なこととして、「好奇心」と「集中力」と「前向きに継続する経験」の3つを挙げた。いくつかある中からあえてその3つに絞っただけのことなので、1か月後には違うものになっているかもしれない。「前向きに継続する経験」について、とても重要なことは感覚的に間違いなかったのだが、自分の中でもその理由をうまく掴み切れていなかった。今回のことを絡めるとうまく説明がつくかもしれない。小学生であれば周りの大人が点線を見てあげなければいけないのだが、成長し続けるためには、それを自らで見えるようにしなければならない。優秀な子ほど、中学生以降、その時が早く来るのではないだろうか。
 最後にお知らせを2つ。先週、「来週1週間は教室がお休みのため、ブログもお休みさせていただきます」という一文を入れ忘れたため、旅行先の沖縄からお届けいたしました。代わりに4月19日はお休みです。そして、もう1つが字数について。通常を1,800~2,000、4回に1回を2,800~3,000としていましたが、それぞれ2,000~2,400、2,800~3,200と若干の変更をいたします。

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