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2022.03.01Vol.533 自事問題

 体験授業に来られた親御様に、志高塾がなぜ要約作文から始めるのかを理解していただくために、意見作文を小学生に取り組ませてもほとんど意味が無いことを次のような例を挙げながら説明する。
「戦争がテーマとして与えられると、大抵は『私は友達と喧嘩したとき、話し合いをして仲直りをした。だから、国同士も話し合いをすれば戦争はなくなるのに』などとして終わってしまいます。そんなどうでもいい意見を書かせるのであれば、なぜ戦争が無くならないのか、その原因を考えさせた方がよほど意味はあります。志高塾では、要約作文や読解問題を通して最低限の論理的な思考力や知識を身に付けさせた後に意見作文に移行させます」
修学旅行で広島に行くので、学びの一環としてそのような作文に取り組ませることを否定はしない。しかし、それは学校での話であって、志高塾には習い事として来ているのだ。もちろん、親の意思で嫌々という場合もあるだろうが、わざわざであることに変わりはない。それゆえ、中身のないものを書き上げた生徒に次のような声掛けをすることがある。「あのさぁ、せっかく来てるんだから、もう少し頭使ったら」
 あるテーマについて自分の意見を述べる場合、少なくとも2つのことが必要となる。1つは現実的に考えること。そしてもう1つがそれに関する知識。現実的に考える、とは何も理想的なことを言うな、ということではない。逆説的ではあるが、より実現可能な理想論を掲げるためには、より現実を厳しく見なければならない。現実的に考える最も分かりやすい方法は、自分の身近なことに置き換えることである。テーマが壮大になるほど、自分の方に引き付けないといけない。上で私が挙げた例はその条件を満たしてはいる。友達とのけんかについて考察をしているからだ。その一方で、知識が決定的に欠如している。それゆえ、実現不可能な理想論で終わってしまうのだ。実際の紛争では、話し合いが決裂することもあれば、停戦合意が結ばれてもわずか数日で反故にされることも珍しくはない。
 元大阪府知事の橋下徹が、ウクライナを支援するという類のメッセージを発していた国会議員に対して、「じゃあ、戦争に参加しろ」みたいな発言をして物議をかもしていた。そのネットニュースをきちんと読んだわけでは無いので経緯は分からないのだが、彼が言いたかったのは無責任な発言をするな、ということのはずである。そして、別にそのことだけを問題視していたのではなく、日頃から口先だけの発言をすることに業を煮やしてのことだったのであろう。愛聴している『辛坊治郎ズームそこまで言うか!』で、辛坊治郎が大阪在住のウクライナ人の評論家に「どのようにしたら、ロシア軍の侵攻を止められますか?」と尋ねた。ちなみに、彼の家族は首都キエフに住んでいる。日本人の専門家なら、厳しい経済制裁を課すべきだ、と答えるであろう。しかし、彼は「とにかく、たくさんのロシア軍人を殺すことです。彼らがアフガニスタンから撤退したのも死傷者がたくさん出たからです」と述べた。それを聞いてドキッとした。私が予想していたものと次元が違い過ぎたからだ。
 一昨日の日曜日、学年末が迫っている中1の長男が、地理のプリントを勉強していた。ヨーロッパが試験範囲であったこともあり、ウクライナがどこにあるかを聞いたら、「そんなん習ってない」ではなく、「ロシアの西側」と答えられた。ニュースになっているので、それぐらいは知っていて当然である。ついでにCNNを見せながら、「英語を勉強しているのはテストで点数を取るためではないんだから、こういうのが聞き取れるようになりなよ。今は1割ぐらいだろうけど、1日5分でも聞いていれば中3になったぐらいには半分ぐらいは分かるようになるかもよ。日本はようわからん芸能人がコメントしているが、海外はキャスターと専門家が一対一でやり取りすることが多い」というような話をした。へぼい成績しか取ってこないが、点数に結び付くかどうかではなく、時事問題も含め世の中のことに興味を持つように育っていることには一定の安心感を覚えている。
 3月13日(日)に延期になった「十人十色」。5人の中学受験を経験された親御様にスピーカーを引き受けていただいた。今回は、初めて15分ほど時間をいただいて受験全般に関する私の考えなどを話させていただく予定にしている。ブログを読んでいただいている方には、「それ前に書いてたやん」ということばかりになること必至だが、自分の口で語ることには一定の意味がある気はしている。
 最後に、戦争や宗教のようなデリケートな問題をあえて題材として選ぶことはほぼ無い。それだけに、日頃ニュースなどに触れながら自ら考えて欲しい。それをできるようになるためにも、物事を様々な角度から考えられるようになるための訓練を授業の中でしていってあげたい。

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