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2021.10.12Vol.514 アクティブ・ラーニング

 私立の小学校に週1回教えに行くようになって1年と少しが過ぎた。1年前、学校の方からは受験生である6年に2時間、もしくは6年と5年にそれぞれ1時間ずつという提案をされたのだが、中途半端なことをしたくはなかったのでどちらもお断りして5年に2時間連続で教えさせてもらうことになった。さらに、私だけでは一定以上の質の授業を提供できないことは明らかだったので、当初からもう1人の講師と2人で出向いている。学校側としては人件費の負担が増えるわけだが、1人でいい加減な授業をするより2人で中身のあることをしたかった。1人でやって欲しいと頼まれていれば私は間違いなく断っていた。これは、「Vol.512 人との約束、自分との約束」とも関係するのだが、人がどうかではなく私自身の話なのだ。少なくとも自分が納得できないことはしない。その授業の質自体もそうなのだが、志高塾の生徒たちに良い教育を受けてもらえるような環境を整えるとことこそが私の一番の役割なので、学校の授業の準備の負担を減らすためにも他の講師のサポートは欠かせない。そして、今年度は持ち上がりをお願いして6年を担当している。1学年1クラスで20人弱なので同じ生徒たちを見続けているということである。集団授業をある程度の期間行うというのは初めての経験なのだが、現時点でそれなりの手応えを感じている。個別だから授業の質が上がるわけでもなければ、逆に集団だから下がるわけでもない。大事なのはそれぞれの良さを生かすことである。いつもながらにそれっぽいことを書いて来たが、その講師から次の授業に関するメールが送られて来ても読むことすらせずに、「ところで、今日は何をするんでしたっけ?」と直前に確認し、好き放題話して「今日も良い授業したなぁ」と満足しながら帰って行く、の繰り返しである。
 月曜が授業なので、昨日がちょうどその日であった。内容は、志高塾で行っていることと基本は同じで、作文を中心に読解問題を織り込んでいる。昨日は、初めての試みとして200字の要約作文を黒板に書いてもらった。これまでは、時間が掛かるのでそのようなことをせずに、2人で手分けして個別で添削を行っていた。3人当てたのだが、途中関係の無い男の子が前に行って一人の子に指摘をし始めたので、「俺がやる予定やったけど、代わりに後でそれ添削してな」とお願いして、他の2人の分はそれぞれ別の生徒を指名した。勝手に立ち歩くことは良くないことなのだが、自分の席でボーっとしているのに比べると断然良い。彼らが添削の際に指摘した内容は「なるほどなぁ」と思わせるものがいくつかあった。ただ、慣れていないこともあり、日頃は私に向かって無駄口を叩く生徒もくねくねしながら自信なさそうにむにょむにょ話していたので、しっかり立って、みんなの方を見ながら話すように、と姿勢の面の指摘をした。
 そろそろ「アクティブ・ラーニング」について触れる。文部科学省が出している用語集で次のように説明されている。
「教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。」
 先日体験授業に来られた私立の中学に通っている男の子のお母様が「息子には、今の学校(A)の詰め込み型の勉強スタイルは合っていません。もし、アクティブ・ラーニングを打ち出している第一志望の学校(B)に合格していたら、違っていたかもしれません」というようなことをおっしゃっていた。それに対して「確かに、Aはがちがちの教育ですが、Bが真の意味でのアクティブ・ラーニングを実践しているとは思いませんし、そのようなことを標榜してできている学校を私は知りません」と元も子もないような返答をした。これまた忌憚のない意見ということになるのだろうか。逆に、老舗の最難関校のいくつかは、具体的にそのような看板を掲げはしないが昔からそのようなことを無意識に行ってきているはずである。わざわざ「アクティブ・ラーニングをやるぞ」などと思わなくても、生徒たちを積極的に授業に参加させようとすれば、自ずとそのようになる。逆に、そんな当たり前のことも考えられない教師にそれをさせようとしたところで形だけで終わるのは目に見えている。ダンスの授業が必修化され、踊ることが苦手な教師が慌てて習いに行ったところで子供たちにその楽しさや意義を伝えられないのと同様である。また、先のお母様に「作文を書くこと、その添削の際に講師といろいろなやり取りをすることこそがアクティブ・ラーニングです」とお伝えした。そのように考える細かい説明は割愛するが、作文以上に「学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る」に適している学習方法を私は知らない。

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